変圧器設備を学ぶ
前回の記事に続き、変電設備のメイン設備である「変圧器」を説明する。
前回記事はこちら。
変圧器の基本事項を押さえたい方に役立つ記事。
火力発電の記事を配信した際にもお伝えしたのだが、本記事を読み終えた後「各設備の目的を確実に説明できる」ようになって欲しい。
人間は、誰かに説明しようと思うと、頑張るので理解度も大きく変わるものだ。これを利用しよう。
また、設備の設計の過程にはトラブルから生まれたものもある。当然ながら、機器は必要だから設置されているので、なかった場合どうなるのだろうか?と考えてみると、理解が深まったりするので、時間があるときに考えてみるといい。
それがそのまま、電験2種1種の二次試験対策になったりする。
押さえるべき2つのポイント
「設備の目的」
「設備設置の理由」
これらを把握することは電験対策にかなり効果がある。過去問を解くだけでは、不足しがちな幅広い対応力が身に付く。少なくとも電験3種、2種の1次試験対策になる。
このあたりを一通り押さえておければ、問題集を解く際にスムーズに解ける問題が増えるので、貴方自身も楽だし、楽しいと思う。※
※どういうことがというと、わからない問題の数が減ると、問題を解いた後の復習時間を短縮することができる。試験直前では思っている以上に助かるものだ。ストレスが減る。
それでは、変圧器の各設備を次のページで説明していく。
各設備の説明
①コンサベータ
【目的】
絶縁油が空気に触れないようにする設備である。
【種類】
ゴム膜式、ゴム袋式がある。
【なぜ必要なのか】
絶縁油は、外気温変化等で膨張したり、収縮したりする。(変圧器の呼吸と呼んだりする)容器に油を満タン入れてしまうと、外気温変化で容器が破損してしまう。そのためには、体積変化に対応できるようにしなくてはならない。
実際にゴム袋式を見たことがあるが、まさに風船であった。簡単に言うと、油の上に風船をおいて、空気に触れないようにしていた。
イメージとしては、下記のような図。覚えておくといい。
②油面計、油温度計
【目的】
絶縁油の水位(油位)および油温度を監視する設備である。
【なぜ必要なのか】
変圧器の巻線に不具合があり、短絡や漏電が発生した場合、絶縁油の温度が上昇する。配管破損等で、油が漏れてしまうことがある。
油位と温度を監視する。さらに、継電器の動作にも使用し、故障発生時には変圧器を停止させ、大規模災害を抑制する。
③油圧板破壊装置
【目的】
故障等で油圧が上昇した場合に油圧板が破損して、油圧を逃すことで、変圧器の破損と事故拡大を防ぐための設備である。
【なぜ必要なのか】
故障等で油圧が上昇した場合、何の対策を講じなければ、どこの部位が破損するかわからない。そのため、破壊装置を設けることにより、油の逃げ先を作ることができ、油の漏えいを防ぐことができる。
④冷却ポンプとファン
【目的】
巻線を冷却している絶縁油を冷却するために、設置される設備である。
【なぜ必要なのか】
大型の変圧器ともなると、絶縁油の温度上昇が大きい。そのため、冷却ポンプで油を強制循環させ、ファンでさらに冷却効果を高める必要がある。
⑤吸湿呼吸器
【目的】
絶縁油劣化を防ぐために、湿分を除去する設備である。役割が似ていて、コンサベータと勘違いを勘違いする人が多いので、注意したい。コンサベータ側に、湿った空気を流入させないようにする。
【なぜ必要なのか】
コンサベータと同様、絶縁油に湿分が混じりこみ、絶縁が劣化することを防ぐことができる。外観は、粒粒のシリカゲルが小さい箱に入っている。
まとめ
以上、「【電験2種3種完全攻略】電力科目「変電設備②」」の記事となります。
変圧器を構成する設備を一通り、説明しました。
あとは時間があるときに「なぜ、あの設備は設けられているのだろうか」といった観点で考えてみましょう。
電験2種以上の二次試験(論述)の過去問を見てみると「各設備を説明せよ」といった問題が数は少ないものの出題されているので、回答する際の肉付けに役立つでしょう。
今日も電験の勉強を頑張りましょう。
※電験において、「変圧器の試験」についてもよく出題されるので、次の記事で詳細に書きます。来年に向け、共に頑張っていこう。
次の学習に進む
学習サイトトップへ戻る
電験勉強サイト|電力と理論の知識を一気に習得できる - 電験合格からやりたい仕事に就く
もう一度、変圧器の復習をしておく
今、注目の記事
【PROJECT】電験二次試験過去問の超解説集 -電力・管理- 合格への一歩は毎日のインプットにあるという話 - 電験合格からやりたい仕事に就く