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【保護継電器の仕事で得た知識】突入電流(始動電流)には高調波成分も含まれる

突入電流(始動電流)を学ぶ

電気機器(発電機,変圧器,電動機等)において、これらを始動する際、初期段階で定常電流値を超えて大きな電流(5~7倍)が流れることがある。また、発電機を電源系統に並列する際にも大電流が流れる。これらの電流を突入電流(Rush current)と呼ぶ。起動電流とも呼んだりする。
本日の記事では、前回から引き続き、保護継電器の業務で学んだことを記事にしていく。

なぜ突入電流(始動電流)が発生するのか

電動機や発電機といった回転機器は回転し始めた瞬間というのは抵抗が大きく、速度を上げるために多くの電流を流す必要があるから大電流となる。これ以外にも、発生理由はいくつかあるので確認しておこう。

発生理由①

コンデンサを持つ機器は、電源投入時にコンデンサが充電されるため、大電流が流れる。

発生理由②
抵抗体は発熱して温まると抵抗が大きくなり定常電流になるが、電源投入時は抵抗値が低いため、大電流が流れる。フィラメント がイメージしやすいでしょう。

発生理由③
電動機、発電機、変圧器といった巻線機器(コイル)の場合、インダクタンスが電源投入時から定常状態に至るまでの間に生ずる可能性がある。また、鉄心等の残留磁気と交流電源の投入位相による磁気飽和から突入電流が生ずる場合がある。

突入電流(始動電流)の挙動について

〇電流の大きさ
突入電流は、設備自体や発電機や変圧器は負担する負荷によっても変動はあるが、5倍~7倍の大きさである。実際、定格電流200Aの発電機の起動時の電流は1000Aにもなる。
〇電流波形の形状(高調波成分による歪み)
また、交流の設備であれば、電流の挙動が気になる。設備に不良等がある場合、綺麗な正弦波にならないからだ。工場からの出荷前には三相の電流を測定する。しかし、上記に記載した発生理由①②③から、綺麗な正弦波にならない。特に変圧器は、磁気飽和によるヒステリシス現象に起因した電流の歪みがある。(第3次、5次高調波)この緩和策として、Δ結線を使用する方法がある。歪み電流を循環させるという方法である。

継電器との繋がりはあるのか

継電器を設計・施工するにあたり、定常状態だけではなく、突入電流のような特殊な状態も考慮しなくてはならない。例えば、過電流継電器や逆電力継電器といった発電設備を守るための保護継電器は過渡期間においても、「制限値」と「動作時間」を設計する必要がある。これらをまとめたのが「動作時間特性」と言われるものだ。取扱説明書には必ず記載されているので、会社等で見かけた際は目を通しておくと勉強になる。(ネット等にもある)
保護継電器を設計・施工するといってもただ取り付けるだけではなく、その設置場所に合った保護継電器を選ぶ必要がある。これが最も技術者として頭を使う部分でもある。

電験との繋がり

現場施工や保護継電器の設計を考えている間も電験を忘れることはない。
本記事の内容は電験とかなり関係性が深い。(むしろ、電験と関係があるので記事に書くようにしています)突入電流自体を問われることもあるし、電流の大きさ5倍~7倍を問う問題も出題されている。また、突入電流を防止する対策も問う問題も出題される。電験の二次試験クラスだと、継電器の設定値の話も記載しておくと加点される問題も出題されているので、確実に覚えておきたい。

時間が沢山あれば、こういった記事(読むだけで点数が上がっていく)を量産して役立ちたいと思うのですが、帰宅が22時を過ぎると作業できる日とできない日がどうしてもあって・・・。
言い訳になりますが、今後ともよろしくお願い致します。
「電験について、どんな勉強方法がいいか」相談したい等ありましたら、Twitterから連絡頂ければと思います。既に記事にしてあればすぐ案内もできるので、検索時間の短縮になるかと。

 

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