2019年6月12日追記
「よく出題される混触についても解説しました」
混触の意味を知ろう
今回の記事から変電設備のうち「混触」を学習していく。
先日、技術相談の仕事を受けた。
相談内容は電源系統全体に関わる内容であり、変圧器を含むインピーダンス計をがっつりやる必要があった。
そこから電圧降下を考慮した考察をするといった仕事内容である。
非常に難易度が高かった。
東芝、日立、三菱等のメーカーが行うような検討書・設計書のレベルだ。
この経験から学んだことは
「基礎知識は大切である」
ということだ。
いきなり実務をすることは難しい。
工場等の大規模電源系統を検討するといった実務は、不確定要素も含む。
「知識の応用」は「基礎の積み重ね」から生まれる。
しっかりと基礎を習得していなくては躓きまくるので、少しずつでいいので基礎を磨いていこうと改めて思った。
これは電験も同様のことが言える。
電験3種の問題をいきなり解こうとすると、やる気を損なうほど、躓く。
そのため、自分は
「まずはざっくり基礎知識をつけてから、電験三種の問題集を解くこと」
をアドバイスしている。
勉強は楽しい方が絶対いい。
これからも、このブログで勉強されている方が学びやすい記事を配信していこうと思う。
言葉の定義を押さえる
「言葉の定義」は確実に理解するようにして欲しい。
なぜなら、定義を押さえておくことで応用問題に対応できるようになるためだ。
電験だけでなく、他の勉強でも、定義を曖昧に覚えていて失点を受ける生徒がいる。
意外と盲点になっていることがあるから注意だ。
まずは「混触」を学ぶ前に「変圧器」の定義からおさらいしよう。
変圧器とは何か
【定義】
「交流電圧・電流」を電磁誘導現象を利用して、大きさ変換する設備のこと。
【構造】
現物と少なからず違いがあるものの、このイメージ図を頭に入れておくといい。
要は「磁気を伝える鉄心」「入力を入れる1次端子」「出力を出す2次端子」で構成される。
【仕組み】
入力側のコイルを一次コイル、出力側のコイルを二次コイルとする。
一次コイルに交流電流を流し、変動磁場を発生させ、それを相互インダクタンスで結合された二次コイルに伝えることにより、変圧・変流が行われる。
【2019年7月12日追記】
全体を網羅できるように補足記事を作成した。参考にして頂ければと思う。
混触の意味
本題に入ろう。
変圧器を勉強していると「混触」という言葉をよく見かけることになる。
特に電験の問題を解いていると「混触」が正解の選択肢に入っていることを認識しているだろうか。
「混触」という言葉は日常生活をしていると、聞くことすらない単語だ。
そのため、忘れないよう定義をしっかり答えられるようにしておくといい。
「変圧器一次側結線(特別高圧や高圧の電路)と二次側結線(低圧電路)とが接触してしまう事象」のこと。
混触の及ぼす影響
混触が発生により、二次側に一次側と同じ電圧が発生してしまうため、非常に危険。
※電圧だけでなく、系統が違う2つの回路が接触してしまうことも混触事故ということがある。
もう少し詳細に解説する。
変圧器の混触事故が発生すると、電気は高い方から低い方に流れるため、低圧電路に高圧が発生することとなる。
低圧電路は当然、低圧の規定に準じた絶縁性能しかない。そこに高圧電圧が印加されてしまうので、接続された電子部品の破壊が破壊したり、電気機器が焼損してしまい火災に繋がってしまうのだ。
混触事故の対策
「B種接地工事」が有効な手段だ。
異常電圧を抑制するためにはB種接地工事を施すことが効果的で、発生電圧を150V以下に抑えるよう電気設備技術基準によって規定されている。
混触を防止するため、変圧器の一次側コイルと二次側コイルの間に設置する金属板を混触防止板という。
ここもめちゃくちゃ電験の1次試験に出題されるから覚えておこう。
変圧器を非接地で運用したい場合に使用するが、混触防止板はB種接地工事、外箱はA種接地工事が必要となる。
混触防止板付き変圧器は一般用変圧器より高価なのがデメリット。
だが、地絡事故時に大きな地絡電流が流れず、かつ高圧側で発生した雷サージや開閉サージといった異常電圧に対しても遮蔽効果があるといったメリットがあり、各種制御装置、医療機器などへの電源供給の系統には採用されている。
まとめ
以上「混触の意味を理解し、混触対策を押さえて点を取る~変電分野⑩~」の記事になります。
今回は変圧器の定義に加えて、混触についても合わせて学習しました。
こういった基礎をきちんと理解しておくことは
「電験3種の穴埋め問題」「電験二種の一次試験だけではなく、二次試験の問題」に対応できるようになります。
記事中で重要な部分(試験によく出る)は「太字」「赤字」を使うようにしているので、そこを中心に覚えてください。
変圧器は重要なので、記事を数回に分けて、覚えやすいように工夫していきます。
「変圧器が不安だな」「よくわからないぞ」となったら、定期的な見直しの際に活用して頂ければと思います。
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変圧器の過去問を解く
依頼を受けて、解説&講義をしました。
問題集の解説では理解しにくい部分です。
必要に応じ、活用頂ければと思います。今後、必要に応じてどんどんアップしていきます。(基本的にブログで配信しますが、手間がかかったものだけnote配信にします。ご了承頂けると嬉しいです)
問い合わせの多い「理論の計算問題」はこちらに整理しています。