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【PROJECT】電験二次試験過去問の超解説集-電力・管理-平成13年版【3日目】

お疲れ様です。

桜庭裕介です。

 

引き続き、毎日更新で「電験二次試験」に取り組んでいきます。今日で三日目(平成13年度)に突入します。



このペースで勉強し続けることができれば、網羅的な学習が期待できるでしょう。

 

電験2種二次試験過去問の超解説の学習概要【平成13年】

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学習項目①「スリートジャンプ、ギャロッピング」
⇒これらの違いをまず把握して、電験二次試験で点が取れるようにします。


学習項目②「Y-Y結線で安定巻線付の特徴
⇒電験3種では稀に出題されたことがありますが、二次試験できっちり記載できるようにまとめてあります。


学習項目③「タービン励磁方式(交流励磁機方式|ブラシレス励磁方式|サイリスタ励磁方式)の特徴」
⇒昔は一括で出題されていましたが、最近は一つずつピンポイントで出題されるので逆に点が取りにくいです。わかりやすくまとめたので理解し、点を取りましょう。


学習項目④「CVケーブルの水トリ―の説明」
⇒水トリ―は検知技術も進歩したこともあって、よく出題されます。現象を学び、どう検知するのかまで学習しておきましょう。電験二次試験と一次試験の違いはここにあります。


学習項目⑤「特別高圧受電方式の説明」
⇒概要を知らないとまず答えられない問題です。しかし、難しい地絡計算を解くより、この問題を選択し、点を取った方が賢いです。新電気といった電気系の雑誌を読んでいると、このあたりは強くなるでしょう。今回、記事中に必要な知識はまとめてあります。

 

学習項目⑥「配電線の電圧メリットの説明」
⇒意外と知られていない知識を試す問題です。教科書にはあまり詳しく書いていないので、学校で習った記憶がないという方がほとんどだと思います。ネット等で調べた「従来6kV配電線運用だったものから30kV配電線導入に至った経緯」も加えておいたので役立つでしょう。

 

※更新情報

【更新:2019/10/4 23時00分】

スリートジャンプ、ギャロッピングの問題解説を追加。

【更新:2019/9/30 20時00分】

解説の充実化

【更新:2019/9/28 21時35分】
問2(Y-Y結線で安定巻線付)の問題解説を整理しました。


【更新:2019/9/27 21時00分】
問1(タービン励磁方式(交流励磁機方式|ブラシレス励磁方式|サイリスタ励磁方式))の問題解説を追記しました。


【更新:2019/9/26 7時00分】
問1の問題解説を追加しました。


【更新:2019/9/23 7時00分】
問4の水トリ―まとめ記事のリンク追加しました。


【更新:2019/9/21 7時00分】
問4(CVケーブルの水トリ―)の問題解説を追加しました。

 

平成13年度 電力・管理

この年の論述問題は非常に重要な知識がまとまっていますので、解答を見ずに一度挑戦してみても良いでしょう。

問1について論述問題

「タービン発電機の次の励磁方式について、それぞれの構成とその特徴について説明せよ」


(1)交流励磁機方式

(2)ブラシレス励磁方式

(3)サイリスタ励磁方式

≪check point≫
電験二次試験の王道問題ですね。ざっくりとした設問が逆に怖いなと感じます。しっかりとした知識がないと、数行の回答しか記載できないでしょう。最低ラインの知識をきっちりとまとめておき、追加で情報を加えて点を取りましょう。

 
解答


交流励磁機方式とは

【構成】
直流励磁方式の励磁機を交流発電機にし、交流を直流に返還する整流器を備えた方式が交流励磁方式。

発電方法を簡単に説明すると、主発電機に直結した交流発電機の出力電流を整流器で直流に変換し、界磁巻線に供給することで主発電機の発電が行われる。

【特徴】
直流励磁方式と比較すると、整流子が整流器に変わっているので接触面が減ることから保守・点検は容易。ただし、スリップリングとブラシの交換は必要。交流励磁機の故障時には予備の別電源に切替できるメリットは大きい。


ブラシレス励磁方式とは

【構成】
交流励磁方式は整流器を別置にしていたが、本方式では発電機の回転部に内蔵する方式。

【特徴】
スリップリングやブラシまでも必要がなくなるので、交流励磁方式と比較しても、さらに点検・保守は容易。内蔵型であるが故に信頼性が高く、経済的。



サイリスタ励磁方式とは

【構成】
AVRからの信号をサイリスタの駆動信号(ゲート電流)とし、主発電機の出力をサイリスタで整流することで得た直流電流を主発電機の励磁電流とする方式。

【特徴】
上記2つの方式と異なり、回転機の慣性を受けないため、即応性が高いことが一番の特徴。また可動部や接触部も少ないので保守性も高い。 

 

問2について(計算&論述問題

「Y-Y結線で安定巻線付の三相変圧器の二次側1線地絡時の電流計算問題および安定巻線の効用を述べる問題」

≪check point≫
1線地絡問題の基本計算だ。計算自体は10行程度で完了するため、更新を記憶しておき、問題文で与えられた値をあてはめていけば、正解を導くことができる。%インピーダンスの考え方は理解しておく必要がある。

電験1種の地絡計算は難しいが、逆に電験2種では簡単な問題も多く出題される。各人の能力にもよるのだが、時間があるようであれば1ヶ月地絡計算だけに絞って勉強するというのはアリ。一気に合格確率は上がるはずだ。

 

解答

 安定巻線があると、1線地絡時には零相インピーダンスを低減することができる。つまり、中性線を設置している目的と同様の異常電圧の抑制効果を得ることができる。安定巻線内に電流循環するのである。また、電流値が大きくなるので、地絡継電器を動作させやすくもなる。

 

問3について(論述問題

「送電線に発生するスリートジャンプ及びギャロッピングについて、次の項目を説明せよ。

(1)現象のメカニズム

(2)その影響と防止対策

 

≪check point≫
過去、電験1種にも出題されている超重要項目ですね。この2つは必ず説明できるようになっておきましょう。2つが混在してしまう学習者は多いです。

解答


ギャロッピングの発生メカニズム

電線の表面に氷雪が付着することで電線に風が当たったとき、微振動が生じて、電線が上下に揺れる現象。電線の断面に対して非対称な形に氷雪が付着することで、電線の風下側にカルマン渦が発生することで、上下交互の周期的な交番力が加わることが原因だ。交番力と電線の固有振動数が一致すると、共振するので振動が発生する。

 

ギャロッピングの影響

送電線の相間短絡が起こってしまうことが一番の影響だ。1度再閉路しても、また相間短絡が生じやすい。また、電線の張力が増大することによる断線、スペーサの損傷、がいし金具の疲労による機械的強度の低下が生じる。

 

ギャロッピングの防止策

①相間スペーサを挿入して振動の抑制をする

②防振装置を設置する

③氷雪が当たりにくい送電線ルートを選定する

④難着雪リングを採用する


スリートジャンプの発生メカニズム

送電線に着いた氷雪が脱落したときに発生する電線の跳躍現象をスリートジャンプという。ギャロッピングとは違い、持続性がないことが特徴。

 

スリートジャンプの影響

跳躍が大きく、相間短絡を起こす可能性が高い。

 

スリートジャンプの防止策

①設計の際に電線配列を工夫し、オフセットを設ける

②氷雪の付きにくい電線にする

③除雪作業をする

④難着雪リングを採用する

 

問4について(論述問題)

「電力用CVケーブルの代表的な絶縁劣化である「水トリ―」について説明せよ。

≪check point≫
これまで各種で問題になってきた「水トリ―現象」

絶対に失点してはダメですよ。8割以上狙っていきましょうね。丸暗記だと覚えられないので、事象を理解して「こういった現象が本当に起こるんだなぁ!」と関心しながら勉強しましょう。

 
解答

水トリー現象とは、ケーブルの絶縁体中に侵入した水と異物、ボイド、突起などに加わる局部的な高電界と相乗作用によって、トリ―状の欠陥が発生・進展し、絶縁寿命が著しく減少する現象のことだ。

 

電気的トリ―との区別化の意味でも「水トリ―」という言葉が使われている。

※解答をする際には、図も書いておくこと。採点基準が公表されていないものの、点がもらえる可能性が高いと言われている。

 

 

ここまでは最低ライン(必須ライン)の記載すべき回答だ。

 

ちょうどいいきっかけなので、点を取るテクニックに関する話に触れておく。(詳細については違う記事で説明します)

二次試験の回答用紙は基本的に埋める。書きまくること。

 

二次試験の回答用紙はかなりスペースがある。これ以上、何を書けばいいの??となる人は多い。

 

電験の電力科目の二次試験は、かなり時間があるので時間が余る。


回答用紙にはたくさん書いておいた方がいい。自信がない問題ほど。



その理由は「採点方式が加点方式である」と言われているからだ。

 

①回答として書くべき最低ラインの内容は「きっちりと」「綺麗に」「わかりやすく」書く

②知っている関連知識や実際の故障事象等も、必須ラインの回答を記載したあとに追記しておく

 

これをやっておくと、点の取りこぼしを極力抑えることができる。

 

 

水トリーの知識をまとめた記事を紹介しておく。こちらもありがたいことに「スマートニュース」「グーグルオススメ記事」に掲載された。1日に5000人が見て、コメントを頂くことができた。役立てると思う。

 

問5について(論述問題)

「次の表は特別高圧自家用需要家の代表的な4つの受電方式について比較したものである。」

①A及びBに受電方式を記入すること

②C及びDは受電方式の特徴を他の方式の記述例を参考に記述すること


③イ、ロ、ハ、二は信頼性の順位を優れた方から1、2、3、4を記入すること
 

 

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≪check point≫
特別高圧自家用受電方式は非常に重要である。負荷には様々な種類があって、工場等の大型負荷や病院といった重要負荷もある。母線ラインの点検をするために停電します!というわけにはいかない。また、事故が起こった場合にも「停電申し訳ないです」では人命にかかわるので済まない。そのあたりも意識すると、これらの受電方式の必要性も理解できるだろう。

 

※「スポットネットワーク式受電」は電験3種から1種までずっと出題されてきたので、絶対に説明できるようになっておこう。

 

※②の問題の記述方式には慣れておこう。解答を見ればなんてことはないが、初見では意外と書けないものだ。


解答

問題①

(A)1回戦専用受電方式

(B)スポットネットワーク式受電


問題②


(C)
①片系の回線事故でも停電しない

②保守点検時には片系ずつ行うことができるので、停電不要

③保護方式が1回線専用受電と比較して複雑


(D)
①送配電線故障時には予備CBを入れるまで停電する

②受電ルートを切替える際には停電不要

③保護形式が簡単


※予備側CBが常に切れている点がポイント。今回の問題では2CBだったが、1CBという方式もある。下流側のCBがDSとしている方式。こちらは受電ルート切替時に停電が必要となる。(DSだと電流は遮断できないためだ。過去勉強した知識がこういった場面で役立つ)

 

 

問題③

イ:4
ロ:2
ハ:3
二:1


※信頼度の考え方としては「事故が発生した場合の停電のしやすさ」で考えればよい。 

 

問6について(論述問題)

「20kV又は30kV配電線路から高圧変圧器を介して三相4線式230/400Vの電圧で需要者に電気を供給する場合の利点を、6kV配電線路から高圧して単相3線式100/200Vの電圧で供給する場合と比較して、次の項目別に簡潔に述べよ。
(1)電気供給側から見た利点
(2)電気需要側から見た利点
(3)総合的観点から見た利点((1)(2)を除く)


≪check point≫
今や当たり前になった230V/400Vの供給方式だが、昔は当たり前ではなかったことを知っておこう。新聞や雑誌ではよく議論されていたそうだ。(高度成長期にまでさかのぼる話)議論の末、大きなビルが集中する都市部に導入された。エレベータ等の容量の大きい機器を持つビルには直接400Vを供給した方が相互にメリットがあるといった結論に至ったからだ。

 

 解答

(1)電気供給側から見た利点

①送電容量を約3~5倍にできる
同容量負荷であるとした場合に、電圧が5倍となることから、電流を1/5とすることができる。その分、送電容量を大きくできる

②電力損失を抑えることができる
電流が1/5となった場合、電圧降下も1/5となることから、電力損失は1/25にすることができる


③送電容量が増えることで、必要な電線数を減らすことができる
電流値を抑えることができれば、その分負荷を持つことができる


④電線数が減れば、施設費用と施工の手間を減らすことができる


 

(2)電気需要側から見た利点

①電力損失を抑えることができる
電流が小さくなることで、無駄を削減することができる

②大きい負荷を駆動する際に400V電圧を使用することができる
従来の200Vを昇圧する高圧設備が不要になる

③4線式のため、照明用と電力用設備を分ける必要がない
4線式のため、照明用の電源供給も可能であり、分ける必要がなくなることで、費用削減することができる

(3)総合的観点から見た利点((1)(2)を除く)

①無駄を削減し、省エネルギーに貢献することができる

 

②①の結果、電気料金を低く押さえることができる
設備を減らしたり、施工の手間、電力損失を減らすことができれば、その分、電気料金を減らしたり、他のサービスをよくするといった取り組みが行われるようになる。

 

まとめ

平成13年の電験2種二次試験はいかがだったでしょうか。

こうして一覧で見ると、重要な知識がよくまとまった年度であることに気が付きます。平成10年代は概要を問うような広い知識を問題が多いです。一方で近年は細かい所を突くピンポイントの問題が出題されます。

つまり何が言いたいかというと
「広く浅い問題で学ぶきっかけを作り、細かく学んでいくという工夫をしておこう」ということです。


そういった観点で解説も作っていきますので、共に頑張っていきましょう。

 

使用した問題集
(平成17年度版)

 

 

 

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