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変圧運転と定圧運転の違いを解説|中間負荷火力発電に必要な4つの特性

お疲れ様です。

 

50年分以上の電験研究を続ける

桜庭裕介です。

 

今日は「火力発電所」「中間負荷」「変圧運転と定圧運転」という知識を解説していきます。

【電験研究歴】

①電験1種20年分以上(昭和も入れたらもっと)

②電験2種20年分以上

③電験3種15年分以上



変圧運転と定圧運転の違いを解説|中間負荷火力発電に必要な4つの特性

 

なぜ、いきなりこのテーマを解説しようと思ったかというと「変圧運転のメリットの中にパッと答えられない知識が入っていた」からです。

 

昨日は知人がspoonというアプリでラジオライブ配信をしていたので、そこに登場してきました。(トークが面白いので、普通に楽しめました)

 


配信内容は電験2種二次試験の知識を配信するもので

 

その中で質問を受けました。

 

変圧運転のメリットの中で「ケーシング温度を高く保ったまま、停止できるので、起動を早くすることができる」とあるが


「なぜケーシング温度は高く保てるのか」という質問でした。

 

パッと答えられた方がいませんでした。

 

理解せず覚えてる知識の一つだと思いますので、解説します。

 

 

これが今回記事を書いた理由の一つです。

 

まずは「中間負荷火力発電に必要な特性」「変圧運転と定圧運転の違い」と順を追って、解説していきます。

 

中間負荷火力発電に必要な特性は4つ

一次試験でも問われることがあるので、この4つだけは確実に覚えておきましょう。

 

①良好な起動停止機能を有すること

 

②良好な負荷運転特性を有すること

 

③速い負荷応答特性を有すること

 

④高い熱効率を有すること

 

出展元:電気学会雑誌(https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1888/98/2/98_2_105/_pdf

 

雑誌の方はザッと目を通しておくと、知識が増えるのでオススメです。

 

 

変圧運転と定圧運転の違い

これは電験二次試験で出題される可能性があります。

 

この比較系の問題はこれまでに山ほど出題されてきたからです。電験1種だと過去問と同じ問題はあまり出ないので、関連させられる知識を増やしておくといいです。

 

変圧運転の定義

変圧運転の定義を紹介します。教科書等に記載されているものです。


「出力一定運転をする原子力発電所の増加や電力需要の負荷率の低下などにより、大容量火力発電所においても中間負荷用火力発電所並みに負荷を変化させて運転する運用が求められ、定格運転ではなく部分負荷運転が要求されてきている。このために部分負荷でも効率よく運転できるよう、負荷に応じてボイラ圧力を下げて運転する方法である。

 変圧運転では負荷に応じた圧力で運転するため、タービン加減弁の開度が定格運転付近でほぼ一定となり、弁の絞りによる損失が減少して高圧タービンの効率が向上する。飽和温度の低下で加熱器入口蒸気温度が低下し、ガス温度との温度差が増加して同じガス温度に対して熱吸収量が増加するなどからボイラ出口蒸気温度が上昇して効率がよくなる。給水ポンプなどの必要吐出圧力が低下するので所内動力が低下する。加減弁絞りによる温度低下が少なくボイラ出口蒸気温度の上昇があることから、負荷減少によるタービンの急冷が防止され、熱応力の減少を図ることができるなどの利点がある。」

 

 

定圧運転と違うポイントは・・・


①負荷に応じて、ボイラ圧力が下がること

②加減弁の開度が定格運転付近とほぼ同じ

③タービンの急冷が防止されること

 

 

こういったメリットがあるため、中間負荷火力発電に向いている運転であると言われています。

 

 

答えられなかった質問
「なぜ、変圧運転では停止時にケーシング温度を高く保てるのか」

ラジオで直接回答させて頂きました。

 

出展元はさきほど紹介した資料です。(https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1888/98/2/98_2_105/_pdf

 

※文章校正中