【2019年11月5日22時更新】
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お疲れ様です。
電験研究を続ける桜庭裕介です。
電験の二次試験の研究としては「電験1種は昭和分も含めれば約40年」「電験2種も同等」の物量を分析し続けてきました。(自宅は過去問で溢れています・・)
今は世の中の需要もあり、雑誌で「理論科目」を解説していますが、機械科目や電力科目についても現場知識を活かした解説をしたいと考えています。
電験の勉強のために、低圧電動機と継電器を買った人は自分くらいでしょう。
「電験に一番詳しい人」を目指しているので、今後も頑張っていきます。
自己紹介はこのへんにしまして
本題に入っていきます。
電験二次試験の機械制御という壁
今日は自分が好きな「機械制御」がテーマです。
昨日、電験二次試験のチェックシートを配信しました。
その中で「機械制御」は決まった計算問題がかなり出題されるとお伝えしました。
その内容を掘り下げていきます。
具体的には・・・
二次試験で不合格になってしまう人の原因を分析します。
この記事で抽出された原因に該当してしまっている方は、今一度勉強し直し等を検討して頂ければと思います。
必ず良い方向に向かうと考えています。
まだ2週間あるので、十分間に合います。
この記事を見て、大きな失点防止を図って欲しいです。
機械制御で不合格になる人の10の原因【原因分析結果】
どんな人が科目「機械制御」で点を落とすのか
ここを具体的に考えていきます。
5年分の過去問をチェックするだけだと、検討が足りなくて
10年分ぐらいを確認すると、ぼんやりとですが合格点到達への糸口が見えてきます。
規則性はないものの、大体こういった問題が出題されるというのが各分野で想像がつくようになるのです。
そこの域から、もう少し上に登る「やらないといけないことの最低ライン」も見えてくるのです。
原因1
「計算問題より論述問題が好き」
機械制御に不合格となる人に最も多いのが
・計算問題があまり好きではない
・一次試験のような問題の方がいい
という特徴。
これでもまだ、ニュアンスが伝えきれないので、追記します。
「計算問題に苦手意識はない。ただ【穴埋め】はできるけど、【1から式を立てて計算する】のが好きでない」といった人
これが電験二次試験で不合格になる人の特徴の一つです。
電験2種から受験される方の中には「電験3種の計算問題が解けない」という方も実際いました。
これだと、めちゃくちゃ危ないです。
電験2種の二次試験は、電験3種の計算問題より難しいためです。
問題の骨組みは大体似ているのですが扱う数値がややこしかったり、変換が必要だったりするのです。
こういった問題に対抗するためには「トレーニング」が必要になります。
①問題文を理解する
②与えられた情報を公式に当てはめられる
③公式を活用できる
この3ステップができて、ようやく点に繋がるのです。
一次試験は①②だけで点が取れる問題が存在します。そのため③の能力が不足している可能性があるのです。
ここが一次試験と二次試験で求められる能力の大きな違いでもあります。
原因2
「誘導機の計算問題をマスターしていない」
機械制御を合格するためには最低限「3つの分野+制御」をマスターしないといけません。
これは絶対だと断言できます。
パワーエレクトロニクスの問題を解けるようになるには相当の独学、もしくは専門講義を受講しないと点が取れないと自分は考えています。一次試験とは次元が違います。
そのため、マスターする3つの分野とは下記の3分野です。
①誘導機
②同期機
③直流機
そして、中でも「①誘導機」
これだけは確実にマスターしましょう。
電気主任の資格を持つ者として、マスターしないといけないといった覚悟を持って、勉強に臨むべきだと考えているほどです。
なぜ、そこまで「誘導機」にこだわるかというと
「点が取りやすいから」です。
機械制御科目では4問出題されます。
3問目はパワエレ、4問は制御と決まっています。
残り2問は
①誘導機
②同期機
③直流機
④変圧器
から出題されます。そして、これらの問題を比較すると、誘導機が一番簡単であることに気が付きます。
難しく仕様がないとも言えます。
同期機は「横軸縦軸同期インピーダンス」がいますし、変圧器はそもそも式自体も複雑で難しいです。直流機は物に種類があるので、応用問題では本気を出されると、解けないこともある。
一方で、誘導機の問題は(1)~(7)といったように複数問題で形成されます。最初の(1)~(3)は公式に問題文で与えられた値を入れるだけで解けることが多いです。
(4)(5)が解けなかったとしても、(6)(7)は違ったアプローチで解けることもあります。
つまり、点が取りやすいタイプだということです。
最終的には「誘導機」「同期機」「直流機」をマスターして、試験会場には行って欲しいです。
しかし、時間が足りないことも当然起こり得ます。
「制御」は最優先で学習したとして、短時間で点の取れる「誘導機」は優先度を高めて学習した方がいいでしょう。
「誘導機が出題された・・勉強していれば解けたな・・」などと口が裂けても言わないようにして欲しいです。(自分の先輩はよくこの発言をしていました)
原因3
「トルクの比例推移を甘く見ている」
誘導機の概要部分の話を原因2でお話ししました。
もう少し深堀します。
誘導機の基本公式のピックアップ、暗記、理解、問題を解くトレーニングを完了し、点が取れるイメージも付いているという方の中にでさえ
「比例推移の問題」が解けない人が必ず含まれています。
※だからこそ、出題されるのですが。
比例推移の過去問題のピックアップをしたことがありますか??
やってみると、めちゃくちゃ勉強になりますよ。
そして、点に繋がりやすいです。
トルクを求める問題がほぼ必ず出題されますから、そこに絡むのが「比例推移」なのです。
ここを解けなくて、5点~10点落とすというのは勿体なさすぎます。
原因4
「制御問題を解くトレーニングが不足している」
「制御問題のマスターは必須」だと自分は考えています。
もし、同じように考えている方は「制御を一番勉強した」と胸を張って、断言できるでしょうか。
もし、勉強が足りていないようだったら、絶対に残り2週間できっちりやった方がいいです。
最大の点を取るポイントですから、ここで50%しか解けなかったでは一気に不利な状況に立たされてしまいます。
電験3種の問題は100%正解できますか?ボード線図を忘れていませんか?ゲインは求められますか?公式を覚えていますか?
こういった自問自答を今日やってみて欲しいです。
ちなみに自分の一番得意なのはこの制御です。
電験1種の問題、2種の問題、3種の問題、どれでもほぼ100%点を取ります。
原因5
「戦略が甘い。どう点を取るのかイメージできていない」
「ただ勉強する」
これでは試験作成側の仕掛ける罠に引っかかってしまいます。
二次試験全体の話に繋がるのですが、電験の二次試験の合格基準は特殊です。
・二科目の合計が合格点に到達している
・各科目で平均点以上
この2つの条件のANDであることから
「機械制御」で平均点以下を取ることは許されていないし、できれば点を取っておきたいのです。
こういった背景があることを踏まえて、具体的にどう点を取るのか、イメージしている人は合格しているように感じます。
自分の戦略としては
「制御問題を9割~10割、正解する」
「誘導機問題であれば、問題ない」
「同期機問題であれば、最低5割以上取れる」
「変圧器問題であれば、3割」
「直流機問題であれば、6割は取れる」
制御を軸に平均点以上は点を取るという戦略です。
同期機は年度によっては、めちゃ簡単な問題が出るので、そういった場合には予定変更で同期機を取るといった戦略変更も考えています。
変圧器はよほど困ったとき用。過去問と同じ形式だったら、選択するかもしれません。部分点は最低狙えるというスタンスです。
原因6
「誘導機以外にもう一つ得意な科目を持っていない」
原因5の戦略をさらに深堀りしていくと、行き着く課題です。
試験本番では「誘導機問題」が解けないといった緊急事態場合が稀に起こります。
単に問題が難しいときもあれば、緊張で忘れてしまった・・ということもあります。
一方で、朗報なのですが、これまで「問1も問2も難問だった」という試験問題は過去ないという点です。
どちらかが難しければ、一方が比較的解きやすいといった具合に調整されています。(試験の平均点に関わる部分でもあるでしょう)
つまり、誘導機以外にも得意な科目をもっておくことで
「圧倒的に優位に進めることができる」ということ。
制御でミスをしてしまった・・・さらに、誘導機が難しい年度で、複雑な問題だったのでミスしてしまった・・そして、不合格になったという経験を自分は持っています。
原因7
「同期機の公式を丸暗記で済ませている」
電験3種や一次試験までは正直なところ、暗記でも通用します。
過去問と同じような問題が出題されることもあり、数値を入れこむだけで対応もできたりするものです。
しかし、二次試験は誰もが口を揃えていいます。
【次元が違う】と。
確かに次元が違います。
問われる問題の種類が全く違うという意味で、次元がきっちりと違うのです。
言ってしまえば、電験3種とは違う分野の勉強と言っても過言ではないです。
電験2種の問題を例に話をします。
昨年の問題は簡単だったのですが、2年前の問題は電験2種らしいです。
2年前がどんな問題だったかというと
問題(1)は見慣れた問題なのですが、問題(2)以降はきっちり理解していないと解けない問題の連続。
他の年度の問題ですが、ベクトルの理解が必要な問題もあります。
ここで伝えたいのは「公式の暗記ステージ」から「公式の理解ステージ」まで成長しなくてはいけないということです。
ここに到達していないと試験で苦しみ、最悪、点が取れないという事態に陥るでしょう。
原因8
「直流機の問題慣れをしていない」
直流機の問題が出題される年度は注意すべきだと、自分は考えています。
直流機は「理解してさえいれば、点が取れる問題」が結構多い特徴があります。
しかも、仕事で経験がある方はあっさりと点が取れる問題でもあることから、他の問題が難しいことが多いです。
直流機が出題されることはそこまで多くはないですが、出題されたら解きにいける準備をしといた方がいいです。
少なくとも「50%以上狙える」ぐらいの準備をしておくと、めちゃくちゃ楽な戦いになるでしょう。
では、一つ質問です。
直流機がどんな問題の形式で出題されるか、イメージがつきますか??
電験3種から登ってきた人は苦労した経験があるのではないでしょうか。直流機の種類ごとに回路図を書いた経験があるのではないでしょうか。(直巻、分路巻、複巻ですね。)
結局、よくわからなかったし、忘れてしまったという人は多いかもしれません。ここは工夫が必要だと自分は考えて、色々工夫をしました。(どこかでお伝えします)
・巻線比
・容量
・電流
これらを求める問題をイメージできるレベルまで、電験3種も含めて、過去問をインプットするといいでしょう。
原因⑨
「変圧器等価回路の扱いに慣れていない」
電験3種経験の浅い方が特に苦手意識を持つ「等価回路の計算問題」がよく出題されます。
まず、この手の問題の特徴は「等価回路を作るヒントは問題文にほぼない」というところです。
どういうことかというと
誘導機もそうですが、等価回路は覚えていないといけないことの一つであり「こんな感じで回路を作るんだよ」といった具合に問題文に記載されていません。
問題文では値が与えられ、それを利用して等価回路に入れ込み、巻き数比や二次側から見た電流等を計算します。
問題によっては「定番の変圧器の試験」に関するものもあって、二次側を短絡させた場合の・・・といった条件が付与されていることもあります。
試験本番で「等価回路はどうやって・・・」などと悩むようではまず点が取れないでしょう。
電験3種なら、問題文のヒントを繋ぎ合わせて、ぼんやりした記憶で選択肢を頼りに何とかできる可能性もあるのですが
電験1種2種の二次試験では通用しません。
「電験3種レベルの計算問題は下地である」という認識を持つぐらいがちょうどよいでしょう。
まとまった時間が取れる土日の半日を利用して「3種の計算問題固め」を行ってみるのも非常に効果的だと思います。
原因⑩
「変圧器の電圧変動率の公式を理解していない」
電験2種以上になると、変圧器の問題と言えば「電圧変動率」が厄介です。
sinΘ、cosΘといった三角関数が入っているので苦手意識を持っている人も多いです。確かに難しいです。
しかし、怯えることはないです。
電圧変動率を扱った問題をピックアップしたことがありますか??
電圧変動率を使う問題だけを集めて、解答を読んでみて下さい。
結構決まった手順で、決まったことをしていますよ。
ここに気が付けると大きいです。
できれば、電験2種の過去問を大量にインプットできる環境(問題集2つ以上(10年分))が欲しいのですが、問題集によっては対応できるよう、まとめて補ってくれているものもあります。
❑時間があるなら1冊解いておきたい問題集❑
【電験完全攻略】合格に必要な問題集と参考書の頂点 - 電験合格からやりたい仕事に就く
自分の理解度と最近出題された問題を比較して、解けるか否かをチェックしてみると、何をすべきか見えてくると思います。
【電験二次試験】機械制御で不合格になる人の原因分析【10の原因】
いかがだったでしょうか。
まとめると・・・
原因① 計算問題より論述問題が好きのまま
原因② 誘導機の計算問題をマスターしていない
原因③ トルクの比例推移問題を甘く見ている
原因④ 制御問題を解くトレーニングが不足している
原因⑤ 点を取る戦略が甘い
原因⑥ 誘導機以外にもう一つ得意な科目を持っていない
原因⑦ 同期機の公式を丸暗記で済ませている
原因⑧ 直流機の問題慣れをしていない
原因⑨ 変圧器等価回路の扱いに慣れていない
原因⑩ 変圧器の電圧変動率の公式を理解していない
かなり知識と経験、ノウハウを凝縮していますので、参考にして頂ければと思います。過去問を数年間分まとめてチェックしてみて、自分の能力との照らし合わせをしてみると、不足部分に気付くことができるでしょう。
試験は合格点に到達すればよいので、やりすぎには注意すべきという考えの基、本質部分を抽出しております。
もっと勉強したい方は勉強してください。
より合格確率は向上します。
電験過去問二次試験を5年分一緒に勉強する