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発電機容量特性曲線を極める【運転制限は界磁と固定子にある】

お疲れ様です。

 

電験研究家 桜庭裕介です。

 

❑電験研究歴❏
トータル100年分の過去問を分析しています。

・電験1種 40年分
・電験2種 40年分
・電験3種 20年分

 

 

今日は「発電機の容量特性曲線」を解説していきます。

 

あまり耳にすることがない2つの用語を先にメモしておきます。


「発電機のOELとUEL」です。役に立つ人もいるでしょう。

 

❑大事な略語❑
①OEL:過励磁制限
「Over Excitation Limiter」

※遅相運転と関係がある。

 

②UEL:低励磁制限
「Under Excitation Limiter」

※進相運転と関係がある。

 

同期発電機の容量特性曲線を極める【運転制限は界磁と固定子にある】

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「発電機の容量特性曲線」という言葉をご存じでしょうか??

 

 

電験1種に挑戦したことがある人はご存じだと思います。

 

 

また、発電機を所有している企業に務めている方もご存じでしょう。

 

 

この特性曲線は「発電機が安全に運転できる範囲を示したもの」となります。

 

電験では重要なの??
⇒1種だと既に重要。今後2種でも多く出題される。

この記事を読んで下さっている方の大半は「電験に挑戦する方」ですので、先に電験においてどう重要なのか、お話しします。

 

 

まず、言わずとも知れていますが

 

 

発電機の容量特性曲線は・・・

「電験1種では一次試験でも二次試験でも出題されています。」

 

 

注視すべきは「曲線の内容」です。

 

 

後述しますが、この曲線は3つの領域に分類することができます。

 

 

さらに


3つの領域ごとにスト―リーがあって、それぞれで運転制限対象が異なります。

 

 

 

つまり、何が言いたいかというと

 

「電験という資格で、問題にしやすい」ということ

 

一次試験では穴埋め/二次試験では論述

・力率を遅れ側に運転すると、どうなりますか??

 

・電機子電流を大きくし続けると、どうなりますか??

 

・力率を進み側に運転すると、どうなりますか??

 

 

こういう観点で穴埋めにさえたり、論述にて回答することになります。

 

 

・・・

 

 

 

 

(本ブログの読者には言わずとも、理解して頂けると思いますが)

 

 

 

 

 

この「発電機容量特性曲線」は「点が取れる問題」です。絶対に勉強しておきましょう。

 

発電機容量特性曲線

では、本題に入ります。

 

発電機の容量特性曲線とは

横軸に有効電力(MW)

縦軸に無効電力(MVar)

 

遅れ力率から進み力率までの運転可能範囲を示した曲線である。

 

下記の図を見てもらいたい。

 

※理解しやすいためのイメージ図である。実際は曲線は丸みを帯びている。

 

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これだけだと、この曲線がどう使われているか、想像がつかない人もいるはず。

 

 

工夫をいれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実際に発電機を運転してみよう!!!!

 

発電機の運転開始!!

※小さいディーゼル発電機をイメージするとよい。起動させてから電圧調整器にて力率を変えるという話はややこしくなるので割愛する。ちなみに有効分の出力(有効電力)はガバナというスイッチを捻ることで、回転速度が上がるので出力も上がる。車で言うアクセルを踏むようなものだ。

 

 

適当に操作をして、運転が落ち着いたとします。


この曲線上、どこで運転していますか??

 

安全運転できていますか??

 

 

これらが曲線で分かります。

 

 

 

安全運転ができている場合は・・・

運転点がこの曲線の中に入っている状態

 

 

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一方で、安全運転ができていない場合・・・

 

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曲線の外に運転点があることがわかります。

 

 

遅れ力率0.95で運転していて、定格速度より回転数が高くなったときにこういったことが起こる。

 

曲線から外れた運転は「固定子コイル」や「界磁コイル」に損傷をきたす可能性があるので禁止されている。

 

発電機容量特性曲線の3つ領域を理解しよう

赤で塗ったところをⒶ領域

薄い青で塗ったところをⒷ領域

濃い塗ったところをⒸ領域 

 

これら3つの領域が極めて重要となる。(電験に良く出題されてきた

 

 

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これらの領域を超えてしまうときはどんなケースか

 

 

それを考えると、暗記の必要はなくなり、自ずと点も取れるようになる。

 

【補足】

「力率のところに線が引かれているですが、これはどういう意味??」といった質問を頂きました。この図は多くの場面で見かけるのですが、実はあまり解説されていません。この線は力率〇〇のときの有効電力と無効電力を示す直線。

 

例えば、力率0.95の場合、有効電力と無効電力の比率は必ず一定になることから(力率は変動しないので)有効電力は✖✖であれば、自動的に無効電力がいくらとわかる。

 

※実際は発電機を作る際に、きちんと力率一定の条件で理論通りの出力が出るように設計していて、その通りに出力が発揮できることを確認している。

 

それぞれの領域で大切なことがあります(点を取る上で)

これから各領域を解説していきますが

 

一行目は必ず覚えておいて下さい。

 

また、一番重要な所は「赤字」にしていますので、そこも脳内に叩き込んでおいて下さい。

 

Ⓐ領域を超えると生じる問題(遅相運転)
⇒OEL(過励磁制限)

「界磁電流増加による界磁コイルの温度上昇」が制限となる。




ここを覚えるために理屈を解説します。


力率1で定格運転をしている発電機をイメージして下さい。

 

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ここで一つ発電機がやらないといけないことがあることを理解して下さい。

 

「系統に遅れ無効電力を供給する」という役割です。

 

 

 


では遅れ無効電力を作るためにはどうしたら良いのでしょうか。

 

 

答えは「界磁電流を増加させてやる」です。

 

 

界磁電流が増加すると、運転点がどうなるかというと・・・

 

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こんな感じで運転点は曲線上を移動します。(力率を変えるということは、有効電力と無効電力の比率だからです。)

 

Ⓑ領域を超えてしまうときに問題となること 

「電機子電流増加による固定子コイルの温度上昇」が制限となる。

 

考え方としては

「曲線上で、有効電力を増加させようとした場合を想定すると理解しやすい。有効電力を増やすことは負荷に電力を供給することを意味する。それは負荷に流れる電流(電機子電流)が増加することと同意である。電機子巻線は固定子巻線であるので、固定子巻線(コイル)に温度制限がかかる」

 

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Ⓒ領域で生じる問題(進相運転)
UEL(低励磁制限)

「固定子鉄心、固定子鉄心端部の温度上昇」「安定度低下」が制限となる。低励磁が原因。

 

これは電験の1次試験でもかなり出題されてきた。


ポイントは2つ。

「安定度」と「鉄心や鉄心端部」。

 

 

発電機の進相運転はまず安定度が低下する。

励磁を弱くしているので、同期化力も減少することをぼんやりでもイメージできると思います。(定態安定度の低下とも言える。)


さらに

進相運転をすると、低励磁の影響を受けて、鉄心端部の漏れ磁束量が増加する。そのため、鉄心端の歯部、鉄心押さえ板が漏れ磁束による「うず電流」(誘起とも言う)によって、加熱されてしまう。

 

 

まとめ

以上「発電機容量特性曲線を極める【運転制限は界磁と固定子にある】」となります。

 

知識が集約されている記事なので、まだ作成部分もあります。

 

ここを押さえると、かなり役立つ知識になるでしょう。

 

今日明日で完成させていくので、楽しみにしてもらえればと思います。

 

【2019年11月24日追記】
発電機の遅相運転、進相運転の話から、OEL、UELの話まで記載しました。点に繋がる非常に大切な内容なので覚えておきましょうね。

 

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