「コイルに流れる電流が電圧と比較して90°遅れる理由」を説明していきます。図を使ったり、ベクトルを使ったりといった工夫もありですが、自分としては「数式」を使うことが一番記憶に残ると考えています。
お疲れ様です。
電験と電気業界を研究している桜庭裕介です。
簡単な自己紹介を添えておきます。
≪実績≫
❑転職関係❑『残業10時間以下』&『年収変動なし』の企業に転職成功
❑電験研究歴❏
トータル100年分の過去問を分析。
・電験1種 40年分
・電験2種 40年分
・電験3種 20年分
≪実績≫
❑電験3種関係❑
【電験|電力(水力発電)】水車まわりの記事がそのまま試験に出題されました
❑電験2種関係❑電験2種|機械【結論:ポイントを押さえて選択肢を減らす攻略法は有効だった】
❑TOEIC❑
電気エンジニアTOEIC攻略までの道のり【800点までは取れた】
今日勉強する内容は「コイル」「位相差」に関する話です。
交流回路のメインである「誘導性負荷」を徹底的に分かりやすく解説することが本記事の目的。
コイルとコンデンサでは全く性質が異なることも意識してもらえればと思います。(正反対です。)
電験でも、交流回路は非常に大事な得点源。きっちりと、脳内にインプットして頂ければと思います。
コイルは電流を90°遅らせる機能がある
ごちゃごちゃと小難しいことを考える前に
「90°遅れる」という事実を覚えて欲しい
直球ストレートで覚えて欲しいことを伝えるのが自分の特徴だ。
そういう勉強スタイルで今まで生きてきたが、ある程度の資格を取ることができた。
あながち間違ってはいない考え方だと思う。
本題に入っていくが
コイルに電圧をかけたとき、コイルに流れる電流は
90度遅れる。
この遅れについて
「一体なんなんだ!?」
「よく間違うぞ!!」
「コンデンサと混乱する」
といった人は必ずいる。
40名のクラスで言えば、1人2人というレベルではなく結構間違う人がいたので、理解しにくい部分と断言して良いだろう。
ここを根本を理解できると、色々な局面で強い。
考え方は直流の回路と変わりない
「電圧÷抵抗で電流が求まる」というのは
「オームの法則」である。
そう。
交流回路だろうと、直流回路だと、電流計算をするために、オームの法則を使うことに変わりはない。
それでは
90度の遅れは一体数式のどこに出てくるのか
を考えてみよう。
理解すれば、もう間違えなくなる。
何度でも、試験中でも思い出すことができる。
数式を書いてみよう
シンプルな回路図で、電流を計算してみよう。
コイルの抵抗は「jωL」
電源電圧は「e」
としよう。
では、電流を計算する式はどうなるかと言うと・・・
I=e/jωL=-j e/ωL
この式は何となく覚えているだろう。
今日のテーマでポイントとなるのは「j」の位置だ。
「j」ってなんだ??
「j成分」
「虚数」
こういった言葉を覚えているだろうか??高校時代にならったはずだ。
これらの説明は、難しい話をぐちゃぐちゃせずに、グラフが一番分かりやすい。一発だ。
グラフとは複素数平面のことを言っているのだが、これを想像できると話が早い。
忘れてしまった人の為に、どんなグラフだったか説明しておく。
手書きの図で申し訳ないが、本質を伝える点では十分なはず。
※複素数平面という言葉は難しく感じるものの、左右方向を実数成分、上下方向を虚数成分(j)をプロトできるものというだけです。(図1のIはマイナスの虚数成分を持っているということを示しています)
つまり
「j」は虚数成分
ということである。
ーjは「遅れ」を示す
上記の図は例として挙げさせてもらったが、見ると一発で気が付くはずだ。
反時計周りに矢印は回転するので
「電流が電圧より遅れている」ことが分かるだろう。つまり、回路の負荷にコイルが含まれているということだ。
※90度のズレではないので、実数成分が混じっていることもこのグラフから読み取って欲しい。
ちなみに「矢印が回転する」に関しては
こんな感じのイメージを持っておくと理解しやすいはずだ。
結論:コイルは90°遅れた電流を生む
コイルだけの回路に電圧をかけると、電流は必ず90度遅れる。
図 電圧波形と電流波形が90度ズレている様子
いかがでしたでしょうか??
少し理解が進んだでしょうか。もし、少しでもお役に立つことができたのであれば、記事を書き起こした意味があって嬉しいです。
図を作ると結構時間がかかってしまうため、手書きにしました。
今年の電験までまだまだ先!と考えつつも、実際、4月に入ると仕事が忙しくなったりして圧倒間にゴールデンウィーク。
疲労を癒している内に休みが明けてしまうのが常。
大事なポイントを今のうちに記事にしたり、Twitter、youtubeにて伝えていきます。
共に楽しみつつ、頑張りましょうね!!
【2020年3月14日追記】
電験との関連性
今回解説した「電流の遅れ」の話は交流回路の基本です。そのため、理解していないと基本的に正解できないと考えて間違いないでしょう。毎年、交流回路は2問程度は出題されますので、大幅な失点に繋がることに注意して下さい。
また、交流回路は計算以外に「波形問題」が出題されることも知っておいて下さい。昔は毎年出題されていましたが、ここ最近は出題されていないです。出題され過ぎた感はあります。(暗記すれば点が取れますからね)
だからこそ、今度出題された時には絶対に点を取ること。簡単だからこそ、失点してはいけないのです。年々電験は難易度が上がっているので、簡単な問題を落とすと即不合格になる可能性があるから。
もし、波形問題を知らないようでしたら、過去の記事(電験理論の波形問題が昨年含む3年間出題されていない)をチェックしてもらえればと思います。この記事では、波形問題の王道問題である「コンデンサ充電放電問題」を紹介しました。交流の波形問題については別途改めて紹介したいと思います。
最後に、そもそも複素数平面と波形が繋がらないという人に向けた解説を追記しておきます。この時期に波形のイメージが浮かぶようになれば、しめたもの。
複素数平面と波形の繋がりが分かりにくい人へ
完全手書きだが、図を自分で書いてみると理解が深まるのでオススメです。
交流回路やベクトル図が苦手だなという人は一度、手書きで書いてみるといい。
【t=0(s)】
ベクトルが回転し始めて・・・
【t=0.0025(S)】
ベクトルがさらに回転して90度地点に・・・
【t=0.005(S)】
ベクトルも波形も90度の位置にいることがわかるだろう。
このようにして、交流波形は形成されるのだ。
電流の交流波形といっても、ある時間においては「1点の値」でしかない。直流回路の電流は値が一つしかないが、交流回路の電流は時間経過により値が変化している。
勘違いしがちだから覚えておいて欲しい。