「大企業は安泰」を一般論で語るつまりはない。完全実話の『現在の一流企業のありのまま』を伝える。『自分の体験』『知人の体験』という実体験の情報でしか本記事は構成されていないことを先にお伝えしておく。
おはようございます。
電験と電気業界を研究している桜庭裕介です。
簡単な自己紹介を添えておきます。
≪実績≫
❑転職関係❑『残業10時間以下』&『年収変動なし』の企業に転職成功
❑電験研究歴❏
トータル100年分の過去問を分析。
・電験1種 40年分
・電験2種 40年分
・電験3種 20年分
≪実績≫
❑電験3種関係❑
【電験|電力(水力発電)】水車まわりの記事がそのまま試験に出題されました
❑電験2種関係❑電験2種|機械【結論:ポイントを押さえて選択肢を減らす攻略法は有効だった】
❑TOEIC❑
電気エンジニアTOEIC攻略までの道のり【800点までは取れた】
大企業は本当に安泰なのか
以前、配信した記事(10年以上務めた大企業を辞めて後悔した5つのこと)の中で「大企業の良い面」を紹介した。
これを「安泰」と捉える人も多い。
「下手なベンチャーよりも、大企業だよ。やっぱり」
こんな発言をする40代50代はかなり多い。
いよいよ「退職」を現実的に考えるようになってくると、大企業の数千万円の退職金が羨ましくなったりする。
「月給も同じ平社員に関わらず、同じような仕事をしているにも関わらず、10万円以上違ったり・・・・・」
と思う関係会社や下請会社の人は多い。
が、しかし・・・
これは
「大きな認識違いである」
「安易に安泰という言葉に飛びつくな!」
というを事をこの記事でお伝えしていく。
大企業の仕事は難易度が高い
関連会社の人が勘違いしがちなのだが
「大企業の社員は、苦労せずにお金をもらってズルいな・・」というのはもはや幻想だ。
基本的に、大企業は「複雑な仕事」が多い。
手続きや調整が難しかったりする。
確かに、クソ楽な仕事をしている人もいる。
「窓際族」と呼ばれる人だ。
ただね、そういう人たちを守ってくれる時代は終焉を迎えたと思った方がいい。
今の時代の大企業は
①経営余裕がない
・大量の高齢者を保有し続ける義務。(変な役職を持った人が増えた・・)
・材料費、燃料費の高騰
②人員が不足している
・一人あたりの生産性向上
こんな状態なので
窓際族ですら、病気になるほどに追い詰められることが結構あったりする。
大企業に入社する人は基本的に真面目だ。
「関連会社」や「下請企業」よりも大量に仕事を処理する必要がある環境下で、難易度の高い仕事をする必要が求められる。
病気になる人がかなり増えた。
明らかに時代は変わったのだ。
日本を揺るがすニュースが・・・
事実を確認できていませんが、ちょくちょく話は聞いてました。
— 桜庭裕介|電験&電気仕事|MBA挑戦中 (@denken_1) 2020年3月18日
『三菱電機は技術力が高い』
というのは事実。
国産であれだけの技能を持った社員がいるのは素晴らしい。
しかし、人員不足からの長時間労働問題が事実なら、必ず解決しないといけない。
企業の責務だ。
人あっての経済活動だろう。 https://t.co/HKTr5UFeH3
ニュースやTwitterで話題になっているのだが
「三菱電機の社員の長時間労働問題」に関するニュースだ。
エンジニア業界でありがちなのだが
昔は「業者泣かせの時代」だった。
とにかく納期を間に合わせるために「やれ!!」の一言で、プロジェクトを進行していても許される側面があった。
発注内容もザルで、まとめて多めにお金を払っておいて、そこで好き勝手に仕事を依頼することが許されていた時代だ。
しかし「パワハラ」「モラハラ」という言葉が横行し、社会問題になった。大企業は取り締まられることになった。
下請会社はきちんとタイムカードを用意したり、パソコンログインログオフを管理するようにもなった。(現場メンテをする会社はタイムカードが中心)
下請は発注元に守られるようになったのである。
大企業の社員は守られていない
「収益を確保せよ」という指令が上層部から下っている大企業は想像以上に多い。
これからの不況に耐えるために資金を確保したい。
正確には「お金をかけずに収益を上げる体制作り」をする動きが高まっている。電気新聞を読むと察することができるが、少し経費削減の記事の扱われ方が異常にも思える。
何らかの力が加わっているようにも思えてしまう。(・・おっと、これ以上の発言は危険だな。)
収益を上げつつ、今の仕事をこなさないといけない
下請や発注先を守るために、工夫をする必要が生まれているのだ。
これは大変な調整業務となる。
相当タイトなタイムスケジュールで動かなければいけない。
大企業の社員を守ってくれるのは「36協定ぐらいなもの」だ。
組合が機能している会社を見たことがない。
というより、組合に人が取られて現場の人員が足りないなんて事が多発している。
ここで、実際うつ病を発症したり、行方不明になった人の話を紹介しておく。自分が守れなかった人とも言えるが、自分も追い込まれていたので、申し訳ないが仕方がない。
【実例】
①40代男性
・大企業メーカー勤務
・プロジェクトリーダー⇒逃亡&一時期行方不明&後遺症あり
②30代半ば男性
・超大企業メーカー勤務
・設計業務⇒病気発症
自分が壊れかけるほど働いた話はnoteで綴るので、興味があればそちらを読んで頂ければと思う。
【実例①】
40代男性が大企業メーカーの取りまとめ業務で苦しんだ話
日本でも有数のメーカーに勤務している人の話だ。
仮名として「花山さん」とする。
花山さんとは仲良く付き合いをさせてもらった。
飲みにも行った。
家族の話をしたり、お互い好きな中華を食べに行ったりもした。好きなA●女優さんの話をしたりもした。
今も付き合いがあるから嬉しい。
お互い好きだ。(いい親父たちが気持ち悪いですね)
・・当時の話をしていく。
花山さんは本当に追い込まれていた。
自分も追い込まれていた。
プロジェクトの規模も大きく、発注金額の算定すらできずに、やってはいけない発注前のプロジェクト進行すら行われていた。
まず、こういうルール違反をした時点で「地獄への扉」を開いてしまったと言える。
花山さんは打ち合わせに向かう途中の新幹線駅付近で行方不明になった。
逃亡してしまったのである。
発見された時には病気になって入院した。
「いくつもの企業から問い合わせを受けて、追い込まれてしまう」ということが大企業の社員には起こりうる事を自分は経験した。
大人数が動くプロジェクトは調整が難しい
「解析書を作る」というプロジェクトを自分たちは担当していた。
花山さんはメーカーとしての見解を取りまとめる必要があった。自分はその条件設定を取りまとめる必要があった。
解析業務をしたことがない人はイメージが付きにくいと思うが、世の中にある解析結果というのは結構曖昧だ。
曖昧というのも、解析条件を設定するのが「人」なので、当然、複雑な設定をしたり、何パターンも行うとお金がかかる。
中小企業の年間予算額を優に超える解析も存在するくらいだ。
自分も花山さんも勝手に解析条件を決めて、解析をするわけにはいかない。
他の企業との調整をしつつ、世の中のニーズに合わせた解析書にしないといけないのだ。
・Aの環境条件を想定して〇〇で△△
・Bの環境条件を想定して●●で❑❑
こんな感じで、解析条件を整理していく。(当然、解析なので数値を決める必要があって、その数値の根拠を算出するのがもっと大変)
「調整業務ってめんどいよね」という言葉の本当の意味は「こういった仕事の積み重ねが面倒」という意味であった
「調整業務=飲み会の段取り」と思っている人がいたら、大きな認識違いなので考えを改めてもらいたい。
調整業務は「条件を決めて」「人をどう動かすか」を決める業務と思っておくといい。当然、お金を取りに行くという仕事が含まれているのは言うまでもない。
最大の失敗は「詳細の詰めが出来なかった」
結果としては「死にそうになりながら、仕事を完遂させることはできた」
ミスもたくさんあったが、解析書は形になった。
だが、工期延長をしたり、余計にお金もかかった。
数十億円かかった。(正確な数値は伏せるが、50億円はいっていない)
これを「失敗」と言う人もいた。確かに成果物と費用を比べると失敗だった。
だが、今振り返ってみて
当時の環境であれば、仕方がなかったと思える。
やってみないと分からないことが多すぎたのだ。
今の知識、技能でタイムスリップすることができたら、プロジェクト費用は半額以下にすることができるだろう。
だが、それは結果論だ。
では、何が悪かったかと言うと
詳細部分の検討が甘くて、どんどん変更作業が増えてしまった
これが最大の失敗要因だった。
「仕事は計画9割」という言葉があるが、本当にその通りだと思う。
人を増やして体制つくりさえできていれば、計画はきちんと練ることができただろう。
❑まとめ❑
☑大企業の仕事は発注金額が大きい
☑数社の企業が関わるから取り返しがつかない
☑計画段階で人員不足が分かったら人事と組合に報告してしまう
自分は会社に何回も寝泊まりする日々が続いた。
花山さんはもっと会社に泊まっていた。
40代の男が段ボールを会議室の床に敷き詰めて、まるまって寝ている姿を目撃した時は心臓がキュっとなった。
「会社の為にここまでせんといかんのか・・?」
これが正直な感想だった。
サービス残業は100時間を超えていたのは言うまでもない。
【実例②】
30代半ば男性が超大手企業の設計業務で苦しんだ話
もう1人、大企業で苦しんだ人を紹介しておく。
超大手企業の社員の話だ。
仮名として「和多田」とする。
和多田は自分と年齢が近い。
そのため、会ってから話をして、すぐに仲良くなった。
和多田は設計業務をしていた。
「設計業務」というのは聞こえはいいが、実は大きく分けて2種類あることをご存じだろうか??
「トラブルシューティングをする設計業務」と「しない設計業務」の2種類だ。
和多田は設計業務をしつつ、トラブルシューティングもする仕事を担当してしまった。
苦情対応は地獄
「トラブルシューティング」というのは表現を変えると
「苦情対応」である。
和多田はこの仕事で疲弊に疲弊を重ねた。
以前、自分が示唆した危険度が高い仕事「数モノ」だ。
数モノの仕事は非常に危険。
やり方を間違えると、死ぬ目に遭う。本当に死ぬ人もいるから、笑えない。
と再三注意喚起してきた自分だが、退職前まで「数モノの仕事」から抜けられず、夜中の2時まで仕事をする羽目になった。土日もサービスで出勤することが普通に起こり得る。
これを仕事の波だと言って片付ける人がいるが、それは間違っているだろう。
自分はこの仕事を避けるべく、退職を選択したが、辞めて正解だったと心から思える。
大企業の社員は「数モノの仕事」を担当する事がどうしてもあるが、それは本人の希望次第で避けることができる。
「数モノの仕事は苦手です。管理能力が低いので無理です」
と正直に言うだけで良い。
和多田は数モノの仕事をこなすことが下手くそだった。ざっくりとした性格も相まって、ほとんどの仕事の期限が超過してしまっていた。
「期限は遅れて当然」という考えにもなってしまっていた。
この感覚は経験した人にしか分からないだろう。
自分は優秀と思う人ほど陥る
和多田も自分も、会社から見ると「優秀」であった。
実際、人よりも仕事はできたし、試験のようなものをやらせればトップクラス。
自分は東大院卒や京大員卒と競って、勝ってきた。
和多田だって、有名な工学院を卒業してきて、難しい微分方程式を使う解析の仕事もできるので優秀すぎる。
だが、この思考が良くない。
優秀だったら「数モノ」を処理させてみるか
と上層部が考えてしまうのだ。
あくまで出すべきは「専門性」。
その専門性こそが社会では大きく評価される。
❑重要なこと❑
自分の優秀さは認めても良い。だが、数モノの管理が苦手ならば、苦手と認識すること。そして、それは上司に必ず伝える事。
まとめ
「【実態】「大企業は安泰」の意味を本当に理解しているか?」という記事を今回書き上げました。
大企業の仕事は
「プロジェクトのリード」と「数モノをこなす」という仕事が多いです。
大卒や大学院卒の人が出世を考えた時「プロジェクトのリード」の仕事は避けられないでしょう。これは失敗しながら、経験を積んでいくしかない。
ただ数モノの仕事は違っていて
自分で避けることを選択できることを伝えておきます。
最後に勘違いして欲しくないことがあって、数モノの仕事が好きな人は勿論います。仕事をしている感じを味わうことができるので、好きだという人もいるでしょう。
それはそれで素敵なことです。
しかし、人間には適正というものがあります。
「スケジュール管理が苦手」という人は恐らく、数モノの仕事も苦手な傾向が強いです。
・出世をしたい
・上司に弱いところを見せたくない
という思いがあるかもしれませんが
「自分の適性に合った仕事を選択する」
これが一番良い選択になるでしょう。
「大企業は安泰か」という大きな問に対して
自分の回答としては
大企業は経営規模が大きいので、社会のニーズに合っているサービスを提供しているのであれば、安泰。
但し、大企業の社員が安泰かと言われればそうではない。適した仕事に就いていないと、病気になるまで追い込まれる。それだけの給与を得ているので、それもまた仕方がないと整理されてしまうことが往々にしてある。
仕事をするサラリーマンにとって、役に立つ記事であれば幸いです。