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【電験3種|理論過去問】平成29年問1問2問3問4で学ぶ

「電験3種の理論科目について、過去に出題された問題の要点を掴む」というプロジェクトを始動しました。本記事では平成29年の問1問2問3問4で要求される知識および次の試験で出題されそうな知識をまとめています。是非活用して頂ければと思います。

 

❑習得する知識❑

問1「電気力線問題」

問2「コンデンサ問題」

問3「電磁気問題(自己インダクタンス、相互インダクタンス算出)」

問4「電磁気問題(磁化曲線(BH曲線、ヒステリシス曲線))」

 

平成29年問1
「電気力線問題」

電気力線問題は毎年出題されるわけではないが、電気力線問題は難しい計算をする必要がない。そのため、点が取れる。

 

そういった背景があるので、平成29年問1の電気力線問題を題材に「電気力線」の特徴まで学ぶことをオススメする。

 

では過去問を見ていこう。

 

≪問題≫

電界の状態を仮想的な線で表したものを電気力線という。この電気力線に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 

≪選択肢≫ 

(1) 同じ向きの電気力線同士は反発し合う。

(2) 電気力線は負の電荷から出て、正の電荷へ入る。

(3) 電気力線は途中で分岐したり、他の電気力線と交差したりしない。

(4) 任意の点における電気力線の密度は、その点の電界の強さを表す。

(5) 任意の点における電界の向きは、電気力線の接線の向きと一致する。

 

正解は(2)

 

❑正解に至るまでの根拠❑

高校の授業で「電気力線の特徴」を学んだことを覚えているだろうか??その特徴をきちんと覚えていれば、難なく解ける問題だ。しかし、忘れてしまっていた場合、急に難問に変わる。

 まず(1)だが、電気力線は電界の状態を分かりやすく図示する方法として考案され、電荷から発するものと定義されている。つまり、電気力線は交差することがない。反発するのだ。記載は正しい。

 

次に(2)だが、電気力線は正の電荷から放出され、負の電荷に入るという定義がある。逆だと、電界の説明も変になってしまう。記載は間違っていると言える。

 

次に(3)だが、電気力線は途中で分岐しないし、電気力線同士で交差することもない。記載は正しい。

 

次に(4)だが、電界の強さは「電気力線の密度とイコール」だ。記載は正しい。Q/εで電気力線数を使って電界を求める公式があるが、まさにこの事を示している。

 

次に(5)だが、電界の向きは電気力線の接線の向きと一致する。記載は正しい。

 

今回紹介した知識は「一覧表」にしてまとめて覚えておくといい。 高校時代、自分は電磁気を学ぶことができていたので「電気力線のまとめ」をしていた経験があった。

 

そのため、すんなりこの問題は解くことができた。参考書によっては記載していないものがあるので、教科書のように下記のまとめを作っておくといい。

 

❑電気力線の特徴❑

①電気力線は正の電荷から放出されて、負の電荷に吸収される

 

②+電荷から放出される電気力線数は「Q/ε」

 

③電気力線は交差しない

 

④電気力線はぶつかると反発する

 

⑤電気力線の接線の方向と電界の方向が等しい

 

⑥電気力線は導体表面には垂直に出入りする(故に導体表面は等電位)

 

⑦電気力線が密集しているほど、電界は強い

 

電気力線の性質をきちんと理解できていないせいで、点を落とす人は結構いるので注意が必要だ。

きっちりと覚えておこう。

 

平成29年問2
「コンデンサ問題」

電験3種におけるコンデンサ問題の中でもトップクラスに難易度が高い問題である。ほぼ毎年出題されるコンデンサ問題だが、静電エネルギーが絡むと計算も複雑になるので注意すべきだ。

また、ゴールのイメージを持つ訓練をして欲しいと自分はよく伝えてきたが、今回のように「前後の比較問題」は必ず比の処理を最後に行うことをイメージしておくこと。

今回の問題で言うと、分母に並列前のエネルギー、分子に並列後のエネルギーを入れることで「何倍になったかを求めることができる」ことを理解しておこう。(忘れていると、地味に戸惑う)

 

並列前と並列後の静電エネルギーを計算で求めることが目的と認識しよう。

≪問題≫
極板の面積 S[m2] 、極板間の距離 d[m] の平行板コンデンサ A 、極板の面積 2S[m2]、極板間の距離 d[m] の平行板コンデンサ B 及び極板の面積 S[m2] 、極板間の距離 2d[m] の平行板コンデンサ C がある。各コンデンサは、極板間の電界の強さが同じ値となるようにそれぞれ直流電源で充電されている。各コンデンサをそれぞれの直流電源から切り離した後,全コンデンサを同じ極性で並列に接続し、十分時間が経ったとき、各コンデンサに蓄えられる静電エネルギーの総和の値 [J] は、並列に接続する前の総和の値 [J] の何倍になるか。その倍率として、最も近いものを次に(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし,各コンデンサの極板間の誘電率は同一であり、端効果は無視できるものとする。

  

f:id:denken_1:20200603045630j:plain

(1)0.77 (2)0.91 (3)1.00 (4)1.09 (5)1.31

 

正解は(2)

この問題はよく問題文を読んで解いていく必要がある。解く為の条件がひっそりと与えられているからだ。

 

冒頭から読んでいくとまず

極板間の電界の強さが同じ値になるように充電されている

という記載がある。

(昔の自分は「だから何なんだよ」と反発をしていた。何を言っているのかよく分からなかったですしね・・。)

この条件は何を意味しているかというと

静電エネルギー(CV^2)/2

のVを与えているということ。(黙って「コンデンサA、BにはV、コンデンサCには2Vの電圧がかかっている」と問題文に書いてくれれば良いと自分は思う

 

コンデンサ問題で使う公式は限られている。下記の公式を思い出して欲しい。これを使って解いていけということを指示されていると捉えよう。

E=V/d

コンデンサ間の距離は与えられていて、電界の強さEが同じであるから

コンデンサA,Bの印加電圧Va,Vbを「V」としたら
コンデンサCの印加電圧Vcは2V。

※コンデンサの極間を長くしているのに、電界を同じにするということは印加する電圧も大きくしないといけないことも分かる

 

次にやることはC(静電容量)だ。

Cを求めることができれば、並列前の静電エネルギーは求めることができる。

 

静電容量の求め方は簡単だ。

C=εS/d

今回の問題では「誘電率εは同一」という記載があることから「極間d」と「極板面積S」で変化することに気が付いて欲しい。

コンデンサAの静電容量はCa=εS/d

コンデンサBの静電容量はCb=ε2S/d=2Ca

コンデンサCの静電容量はCc=εS/2d=1/2Ca

ポイントがあって、今回の問題のように比較をするような場合は、いずれかのコンデンサ(今回はコンデンサaを)で一つにしてしまうということ。

一つにしておかないと、最後の比較の際に処理に困るからだ。

 

ここまで計算できたら、あとは各コンデンサの静電エネルギーを足すだけだ。

並列前の静電エネルギーの和

(CaVa^2)/2 +(CbVb^2)/2 +(CcVc^2)/2

よって

5/2CaV^2

 

一旦休もう。

 

・・・

 

次は並列後を考える。

注意して欲しいのが、コンデンサを並列してしまうと「電界の強さが同じ」という条件は使えないということ。しかも、並列してしまうので、電圧も変化してしまう。

 

よって、使える条件は何かというと

電荷量

である。

Q=CV

 だ。

つまり、使える静電エネルギーの公式は 

W=Q^2 /2C

※静電エネルギーの公式は変形できるようにしておくこと 

 

 

充電したことで、コンデンサには公式の通りの電荷量が蓄積している。

Qa=CaVa=CaV

Qb=CbVa=2CaV

Qc=CaVa=CaV

並列接続した回路には4caVの電荷が溜まっているということだ。

 

また、ここで覚えておかないといけないのが

コンデンサの並列接続は、静電容量の和であること

コンデンサAの静電容量はCa=εS/d

コンデンサBの静電容量はCb=ε2S/d=2Ca

コンデンサCの静電容量はCc=εS/2d=1/2Ca

 

よって、7/2Ca

 

これらを「W=Q^2 /2C」に代入することで、並列御の静電エネルギーが求まる。

16/7CaV^2

 

 

最後に比を取ることで、何倍になるかを算出することができる。

 

並列前の静電エネルギー(5/2CaV^2)を分母に

並列後の静電エネルギー(16/7CaV^2)を分子に

≒0.91

となる。

 

平成29年問3
「磁気回路問題」

記事が長くなってきたので、別記事に飛ばします。

 

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