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電験で問われやすい誘導電動機の等価回路と損失と同期ワット

「基礎が身に付いている人」というのは強い。

どの学問でもやはり基礎の勉強ががっちりしている人は試験本番で安定した成果を出す。

これは高校受験でも大学受験でも編入試験、入社試験、昇進試験でもそうだった。

 

電験も例外ではなく、公式と公式の背景を押さえている人が最後は勝つ。

 

この記事では「意外と試験前に忘れがちな知識の一つ」を共有する。

関連付けて覚えておけば、一気に点が取れたりする。

 

誘導電動機の損失

誘導電動機の損失というのはこれまでの電験の歴史で散々登場してきた。

王道中の王道である。

 

「P2:PC2:Po」

「二次入力:二次銅損:機械的出力」

 

この比はいくつか??を暗唱させていた講座も自分は経験している。

 

とはいえ、エネ管しかり電験しかり難易度が上がってきている現状、暗唱だけに頼るのはあまりに危険すぎる。

 

エネ管に至っては公式証明が王道でもあるのでただの暗記は意味をなさなかったりする。

 

誘導電動機の損失はどのようにして導かれるのかをきちんと整理しておくのが一番の近道だろう。

 

誘導電動機一次側二次側の整理

いきなり損失の話をすると意味が分からなくなるので、回路図で整理するのが良い。この回路図を「等価回路」と読んだりする。

一次側に抵抗、リアクトルがあって、二次側にも抵抗、リアクトルがある。

そして、誘導起電力E1、E2がある回路図を書こう。

 

ここからが重要になるのだが

誘導機は一次側と二次側で「すべりS」が存在する。

一次側に比べて、二次側は滑っている。つまり少し遅れているのだ。(「すべり周波数」という言葉を聞いたことはあるだろう。)

 

要は一次側である固定子の力によって、二次側の回転子が引っ張られているような状態なのである。

 

誘導起電力E1とE2を考えてみよう。(E2がすべりの影響を受ける)

すべりが0の場合はいつも通りのE1、E2である。(すべり0が厳密にはあり得ないのだが)

 

ただし、すべりsがある場合には

E2が「s×E2」

となることを覚えておこう。

ここが起点になる。

 

この起点から電流、損失を求める課程を誘導電動機の等価回路を基に書いたので参考にして頂きたい。

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コツは電流の式の分子にあるsを分母に持っていく所だろう。

この段階で、電流さえ定義すれば「二次入力」は求められることも覚えておくといい。

「電流の2乗 ×抵抗=損失」だからだ。

 

ここで終わりたい所なのだが、自分たちは「機械出力」を求める必要がある。

機械出力を求める為に二次抵抗を切り分ける

二次側の全体抵抗r2は滑りの影響を受けることが式の展開上、分かった。(電流を考える上での話。実際は滑り周波数の影響はリアクトルx2が受けるので)

 

機械出力を求める為には、全体抵抗から銅損分の抵抗を引いてやる必要がある。

銅損分は動力には用いられない部分の巻線の抵抗のことだ。

それらを整理すると機械出力分の抵抗が求まる。(すべりsがあるのでややこしい式)

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ここまでくれば、ゴールだ。

二次側全体の抵抗は「r2/s」

二次側の銅損分抵抗は「r2」

機械出力分の抵抗は「(1-s)/s×r2」

 

これらは非常に重要な式たちである。

損失で覚えようとする人がいるが、あまり式を複雑にすべきではない。

損失は電流の二乗を抵抗にかけるだけである。

要は「抵抗」さえ押さえておけば、簡単に損失に変換できるから。

二次側電流I2が与えられた瞬間に二乗をつけて抵抗にくっつけてやればいい。

 

実際に損失だけで綴ってみた

慣れないことをしたので、修正している部分がある。

単純に二次側電流の二乗が抵抗に積されていることが分かる。

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大事なことなので、二点ほどワンポイントアドバイスをしておく。

機械出力なのだが「二次入力ー二次銅損」という記載。

 

これは問題として日本語で問われると意外と盲点になりがちなので押さえておこう。(回路図を書く段階で、機械分と銅損分に分けているので大丈夫なのだが。自分は混乱したりするタイプなので念のため定期的に書いている)

 

あともう一点が「機械出力は「軸出力や電動機出力」ではない」ということ。

ここからは電験2種以上なのだが、軸受損失を考慮しないといけない。

 

要は電動機が100の力で回せていたとしても、電動機から負荷に繋がるシャフトを支える軸受損失があるのだ。

 

機械出力から軸受損失を引いて、ようやく軸出力(電動機出力)となる。

 

裏技:比で覚えておく

邪道ではあるが、電験には有効である。

二次入力を1として

sをかけると「二次銅損」

1-sをかけると「機械出力」

といった具合である。

イメージとしてぼんやり式の形だけ入れておいて、分数の形ではなかったよな、銅損、機械出力の順に式が長くなったよなという覚え方もありだろう。

最終バックアップにはなる。

 

同期ワットの存在

これは過去、電験2種の二次試験、1種も出題されていたのだが、泣かされた人も多いと思う。

自分は1種の試験で試験会場にて遭遇した。

これを知らないだけで「失点」というのは極めて残酷だと思う。

 

同期ワットとは「二次入力」のことだ。

絶対に覚えておいて欲しい。

 

出題される形としては

「トルクを同期ワットで示しなさい」だ。

 

「意味あんのかよ」と思ったこともあるが、メーカー図書で同期ワット表記になっていたりするので、設計する上で管理しておかないといけない数値ではあるのだ。便利でもある。

 

トルクの式は散々やってきたので覚えていると思うが、同期ワットで表現することができるかどうか、この記事で確かめておいて欲しい。

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そして、角速度は電験の機械科目において、そのまま出題されることは極めて稀である。

 

故に「2πf」

さらには、fを「N/60」に砕けるようにしておこう。

 

Nは回転速度であり、rpm、すなわち1分間の回転数を示している。

一方で、周波数は1秒間の回転数を示している。

 

よって、Nは60秒で割ってやるとfになるのだ。

 

最後の一文は超暗唱して覚えておくといい。

色々な場面で使える知識である。

 

以上、今日も一日がんばろう!!!