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【電験】同期発電機と同期電動機の違いで点を取りにいく

今日の記事では「同期機」を取り扱う。依頼を頂いて、同期機の公式の導出から問題解きまで、簡単に解説することにした。

はじめに

試験直前の戦い方は人それぞれ。

だが、共通してやらないといけないことがある。

それは

「知識を使える状態」

にすることだ。

 

当たり前のように見えて、実は難しいことでもある。

 

実際「覚えた! 」と思っていても、忘れているということは多々ある。

 

ここは絶対に工夫を凝らしておくべきだと自分は考える。

 

工夫はいくつも存在するが、その中の一つとして

違い

という捉え方は効果的な点の取り方である。

 

裏を返すと、発展問題は「違い」という観点から攻めてくる問題も多い。より複雑で、よりマイナーな違いを問題に組み込むほど、問題の難易度は上がる。

 

今日は同期発電機と同期電動機の違いを押さえていく。

 

これまで自分が解いてきた問題と同じような問題があればそれは最高のことである。準備が足りているということだから。

 

もし「初めて見る!」といった問題があるようだったら、この記事から吸収し、対処の仕方を学んでおいて欲しい。

技の広がり(試験本番での対応力)が習得できるだろう。

 

もはや、難易度の高まった電験の同期機に対して、ノー勉で試験に挑むという人はいないと思うが、少なくとも公式は目にした程度のレベルでもインプットできるような記事にしておく。

 

同期発電機、同期電動機の違いから知識を一つずつ整理していこう。

 

同期発電機と同期電動機のベクトル

簡単な参考書だと「同期機」を「回転子と固定子が滑り0で回る機器です」なんて表現で終わらせているものもある。

が、その程度の知識では電験2種は勿論のこと、電験3種の問題は解けない。

 

まず、きちんと入り口を整理しておいた方がいい。

「ベクトル」

という考え方からだ。

 

ベクトルという横文字は一旦忘れよう。

・発電機は発電機の電圧が元となる。

・電動機は供給した電圧が元となる。

これが一番大事だ。

 

つまり、発電機であれば

「発電機電圧(誘導起電力)が矢印を足し合わせた矢印」となるわけだ。

 

簡単な回路図と矢印で関係を記したものは自分の手で書けるようにしておこう。

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これに関しては電験1種でも出題されるので、もはや共通事項である。

 

注意すべきこと

 

「力率角」と「負荷角」だ。

これらはこれまでひっそりと電験で出題されてきた。

 

よーく角の意味を覚えておくといい。

 

・力率角は「端子電圧」と「電流」の角度差

 

・負荷角は「電圧同士」の角度差

 

 

角度差のことを「位相差」と言うし、負荷角は「内部相差角」とも言う。

 

出題はランダム性があって予測不可だが、絶対に覚えておいて欲しい。頻度は高い。

 

出力の公式が複数あって独特

同期機の出力は下記の公式で定義されている。

Po=(EV/x)sinδ

見慣れれば、どうということはないのだが

何故に「誘導起電力」「端子電圧」「内部相差角」で表現しなきゃいけないのですか??

といった質問を下さる人もいる。

出力の公式は誘導機等ではcosθなのに、同期機では「sinδ」という文字式が入っているのだ。

参考までに、同期機の式の導出を書き綴っておいた。

※真ん中に線を引いた。下半分は電機子巻線抵抗を省略した話になっている。角度関係(Θ)をきちんと理解しておこう。

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同期機出力の公式(省略版)

実は同期機の出力は「ある条件下」での公式である。

その条件とは「電機子抵抗は無視」というものだ。

 

「電機子抵抗は同期リアクタンスxに比べて十分に小さいから無視しよう」ということなのである。

 

電機子抵抗が入ると式を立てるのも計算も面倒になる。(ノートで言う「上の図のベクトル」で考える。「Ix cosΦ」が「Vsinδ」に変わる瞬間を見て頂けるだろう。※)

 

そもそも何故に「Ix cosΦ」を「Vsinδ」にしないといけないんだ!と思う人もいるかもしれない。

その理由としては

「電動機を動かす際に「端子電圧」を調整する為」

である。

供給元の電圧は自分たちで変えるが故に、それは出力の公式に入れておきたい気持ちは理解できるだろう。

 

図から公式を導けるようにしておけば怖くなくなるので何回か手書きに挑戦してみて欲しい。

余談

電験3種だと「Po=(EV/x)sinδ」の公式を忘れてしまう人がいる。

問題としては「P=√3×V×I×cosθ」もよく登場するから、かなり覚えにくい。

 

sinδはよく文章問題で登場し、cosθは計算問題で主に登場といったように使い分けが厄介である。自分は理解し対応できるまでに数年かかった。当然、EとVを巧みに変えてくる問題が苦手だったのは言うまでもない。※

※「Po=3EIcosθ=√3VIcosθ」の話。

三相において、線間は相間の√3倍。(電圧もしくは電流のどちらかが)(本サイトの読者は耳にタコかもしれないが)

 

実際に一問、自分が軸にしている問題を共有しておく。

同期電動機の計算問題

三相同期電動機(定格電圧100V,定格周波数60Hz,6極)を運転させ、トルク100N/mで負荷を動かしている。この電動機の線電流を求めよ。

 

ちなみにこの問題はハイレベルだと個人的に思う。

恐らく、電験2種受験者でも解けない人がいるだろうし、1種受験者でも鍛錬していないと初見だと厳しい人もいるはず。

基礎ではあるが、解くために必要な要素が詰まっている代表例。

 

解答

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※余計なメモ書きは無視して欲しい

解き方というか、根底にある考え方を押さえておくといい。

 

①トルクと出力の公式

⇒Po=ωT

※ωは2πfで、fはN/60である。

 

②出力の公式

⇒√3VIcosθ

※もし、Eが与えられていたり、δ(内部相差角(負荷角))が与えられている場合には別の公式(Po=(EV/x)sinδ)を使うこと。

 

まとめ

以上「【電験】同期発電機と同期電動機の違いで点を取りにいく」の記事となります。

 

内部相差角や力率角という紛らわしい角はきちんと整理しておきましょうね。ここで5点10点という単位で点を落とすことだけは避けたいからです。

 

下記より、別の知識と関連させた問題を共有しておきます。

共に頑張りましょう。

 

御礼

頂いた支援は全額社会福祉に充てさせて頂いております。(その前に靴を買いなさいと先日言われたのですが^^;)

被災地支援にも微力ながら貢献しましたが、単発では弱すぎました。やはり、国内外から資本をきちんと得る仕事をしないといけないことを実感しております。

少しずつですが夢実現していく姿を応援して下さっている方もいて嬉しい限りです。新しい挑戦を覗いてみたい方はこちらから。たまに覗いてみて下さい。