電験3種予想問題を某企業が出しているのだが、数社が「電子運動が出題される」という予想をしている。それに対し、Twitterでは少しざわざわしている感じがあった。
だが、冷静になった方がいい。
まず、電子運動は平成20年から見てみると「2年連続で出題」が継続してきた。そして、1年、2年の空白があって「また2年連続出題」というサイクルであった。
しかしながら、ちなみに昨年、一昨年と出題されてしまっていることを認識しているだろうか??
「ヤマを張らない」「乱されない」を意識して、過去問や自分の軸とすべき問題の研鑽をして欲しい。
過去問は10年浴びれば、確実に合格圏内には入るのだから。
私たちはそこから個々に苦手を引き算して、戦略を立ててきた。
故にやるべきことは網羅性を高め、本番で戦える技能を身に付けることである。
勿論、電子運動はノーマークで良いという話ではない。
問題作成側が思い付きで
「2年連続周期になってますね!今年3年連続やってみますか!!」
と舵を切られることなんて、十分にあり得る。
ここを論争しても意味がないのだ。
理論の計算問題記事を購読して下さっている方は電子運動の重要問題を押さえてあるから大丈夫だ。
念のために良問を用意しておいた。
電験2種の問題だが、電子運動を捉える観点ではとても優れているだろう。また二種からのおさがりは電験作成側の御庭芸なので効果的な対策でもある。
電子の運動に関する計算問題
次の文章は,磁界中の電子の運動に関する記述である。
文中の「」に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
図のように,磁束密度の一様な磁界に直角に速度で電子(質量,電荷,)が運動している。このとき電子は磁界からローレンツ力を受ける。その力の向きは電子の進行方向に直角で(の方向であり,その大きさはである。
電子はこの力を向心力として半径rの円運動をすることからr=となる。また,電子が回転する角周波数はである。
ここに角周波数がと等しい振動電界を外部から印加することにより,電子を効率よく加速したり減速したりすることができる。
電子が加速された場合には電子の速度が増大することから,円運動の半径は増大する。
このとき,電子の円運動の角周波数ωの大きさは
この現象はサイクロトロン共鳴と呼ばれ,高密度プラズマの生成や,固体の有効質量の測定などに応用されている。
図
問題の答え
(1)紙面裏から表へ
(2)evoB
(3)mvo/eB
(4)eB/m
(5)変わらない
この手の問題はまず力の公式を覚えていないと連鎖的に間違うから怖い。
ローレンツ力(磁界から受ける力)の公式は思い出せるようにしておいて欲しい。
「F=evB」
「電荷×速度×磁束密度」だ。
あとは電験、エネ管、高校物理、大学編入試験、ほとんどの試験で「遠心力や向心力」とイコールにしたがる。
イコールで結ぶと、Fは消える。
そして、残るのは大半がr。このrを問う問題が圧倒的に多いのだ。
角周波数と速度の関係はv=rw。
エネ管受験者はこの公式を何度も使うことになるので、もはや身に付いてしまっているはず。
rを求めたら、ωを求める。
この流れはもはや王道。
(5)は問題を難しくしようとして、一回読んだだけでは「?」「何が言いたい?結論は出ているだろう」と思うかもしれない。
が要は「速度を変えたとき、角速度はどうなる??」を答えさせたかったのだろう。速度が変わった分は半径に影響が出るという現象を知っていれば即答できる。
とはいえ、知らない人も多々いると思うので、文章から読み取りにくいが、これもまた電験ではよくあることなので耐えて欲しい。