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電気影像法はどうして必要なのか

この勉強資料では「電気影像法」について、解説する。

電気影像法に苦手意識を持っている人は多い。いきなり過去問を解くため、どうして必要になのかも考えすらなく、暗記している事もある。

そこを解消する。

電気影像法が必要な理由

電荷の近くに導体がある場合において、電場または電界が点電荷だけが存在する場合と異なる状態になるため。

ポイント

「導体と電気力線の関係(電気力線の定義)」

①導体表面は等電位
②導体内部の電界は0

そのため、電気力線は導体面に直交する。もし、直交しない場合、水平成分が残っていることから、電位差がある、導体内部に電界が生じる、表面電荷がまだ移動する(安定状態ではない)ということを意味する。

電気影像法の発案

諸説あるが、ウィリアム・トムソン(William Thomson)が発案したとされている。イギリスの物理学者であり、ケルビン卿と呼ばれていたことで知られる。電磁気学だけでなく、流体力学にも精通し、絶対温度の考え方を導入した人だ。電験でも出題されるトムソン効果を発見した人物。

関連知識

トムソン効果とは「1つの金属上で温度の差があるう2点間に電流を流すと、熱を吸収したり発生したりする現象のこと」※ゼーベック効果やペルチェ効果も電験2種では出題されやすい。大事なので毎年共有している。

もっと簡単に説明するなら

導体付近に+電荷を置くと、静電誘導により、導体表面にはー電荷が誘導される。ですが、導体表面に分布される電荷で計算をすると、すごく複雑になってします。

そのため、導体内部に電荷があるとして考えることにした。それが電気影像法である。計算結果は導体表面に電荷が分布する場合と同じである。

もう少し深く電気影像法を学ぶ

下記のような要約で理解しておくと、いいと思う。※画像処理完了後、掲載します。

地表面などの電位0の導体面からh[m]離れたところに点電荷Q[C]が存在するとき、点電荷と対称な位置に点電荷-Q[C]を置いて考えることで、電界や力を計算しやすくなる。このような仮想の電荷を考える手法を電気影像法という。

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電位0の導体面付近に点電荷+Q[C]が存在するとき、平面導体の表面には静電誘導により、マイナスの電荷が誘導される。電界の様子は下記のようになる。点電荷からの電気力線は導体表面に直交するため、点電荷だけが存在する場合の電界の様子とは大きく異なることが分かる。

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点電荷に働く力の計算について
平面導体には静電誘導により、-電荷が誘導され、点電荷+Q[C]には平面導体に引き寄せられる力が働く。この力はクーロンの法則を適用して求めることができる。

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導体表面上の電界計算について
無限導体平面から離れたところに点電荷+Q[C]がある。無限導体平面上の電界は、点電荷+Q[C]と仮想電荷-Q[C]の電界のベクトル合成したものとなる。導体面に垂直に入る方向である。

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表面電荷密度σと電界の関係について

導体表面の電荷密度をσとすれば、ガウスの法則からσ/εの電気力線が入ることになる。電荷密度は単位面積あたりの電荷数。つまり、σ/εは単位面積あたりの電気力線であるから、電界のことを意味する。これは地味に試験に出る。

電気影像法の適用事例

※今後、問題解きの中で各パターンを追加していく。