電験2種二次試験平成19年の「電力管理」にて、非対称短絡電流を求める問題がある。非対称係数を掛け算するが、これは何故しなくてはいけないのか。
非対称係数の公式
非対称係数の公式は次式で表される。
非対称係数=非対称短絡電流/対称短絡電流
非対称短絡電流は、対称短絡電流に係数をかけることで求められるが、係数は1以上なので、非対称の電流の方が大きくなる。
非対称係数と短絡電流の式
非対称係数は、過渡時の計算で必要になる。
遮断器は保護継電器からの信号を受けてから遮断するので、非対称係数は考慮していない。その理由としては「短絡電流の式」。
短絡電流の式は「永久短絡電流」+「過渡電流の交流分」+「過渡電流の直流分」で表される。
※短絡電流の式は別資料で解説する
遮断器が動作するときには過渡電流の直流分は減衰しているため、考慮しない。
非対称係数は何故、必要なのか
では、どんな時に必要になるかというと
「過渡時の導体間の短絡電磁力を考えるとき」である。
設計資料で最近見つけることができた。
短絡電磁力とは
短絡電磁力について、解説しておく。
平行する導体に電流が流れると、吸引力もしくは反発力が働く。電流の向きがどちらかかを決める。2相短絡であれば、導体に流れる2つの電流の向きは反対となるので、反発力となる。(そのため、短絡電磁力を反発力と呼ぶことがある)
母線や機器内の導体には過渡時の力も加わる。よって、母線や機器内の導体を設計する場合には、直流分も考慮した非対称短絡電流で考える必要があるのである。