模擬試験の補足資料として、本資料を書く。
解説に入れ込むと、煩雑になるため、別にした。
電流がポイント。
積分変数をℓにするところ、位置をxに置くところが難しい。負荷電流の大きさを求めて、電線路電流を求めるという2ステップが必要。
※電線路は変圧器に近づくほど、負荷電流が合算されるので、i'として積分をしているのである。
P点からA点の電圧降下の問題で躓くポイント、P点からB点の電圧降下の問題で躓くポイントを整理する。
躓きポイント①
「積分変数と積分範囲」
本問題では、いつもはxを使う積分変数だが、ℓを使う。
別にℓじゃなくてもいい。が、xじゃないのが混乱しやすさを招いていると感じる。混乱しやすい人の根底の原因として「積分変数の理解不足」であることが多い。
まず、今回の問題では、負荷電流が場所によって大きさが違う。(ある地点では1Aだが、次の地点では2Aといったように)
負荷電流は位置に比例関係にあるため、負荷電流を求める式には、位置が変数として入っている。
一方で、電線路電流は負荷電流が合算されていく。
式にすると
我々は電線路電流を求めたいのである。Rを掛け算して電圧降下を算出するためだ。
では、電圧降下を求める際に登場するxは何なんだ。
その答えは「変圧器の位置」である。
今回の問題がヤヤこしいのであって、変圧器の位置が指定されていて「変圧器から20m離れている地点までの電圧降下を求めなさい」という問題であれば、xは必要がない。20が入る。(0~20で積分する)
これは、後段で、AーP間電圧降下=P-B間電圧降下として、その位置を求めたいためにxと置いているのである。
というより、位置が分からないからxとしているだけである。数字だと思えば、抵抗感がなくなるだろう。「?」という記号でも別にいいのだ。
躓きポイント②
「P点からB点までの電圧降下」
ここが難しい。
(違った表現ができないかな、分かりやすい表現がないかなと2日ほど考えていました)
「A点からP点の電圧降下と同様、積分変数ℓをA点基準にしたい。」
「積分範囲をxじゃダメな理由が分からない」
という質問を何度も受けてきた。
その答え。
前述の通り、AーP間電圧降下は下記で算出できた。
PーB間電圧降下も同様、積分変数ℓをA点基準にした場合、負荷電流iの式自体は問題ないのだが、電線路電流i’の結果がおかしくなってしまう。
どうおかしいかというと、積分範囲がP点のxからB点のLになるのだが、電線路電流が0にならないどころか、B点には非常に大きい電流が流れていることになる。
積分変数が適切ではないからだ。
末端であるB点を積分変数の始まり(基準)にする。ここが一番大事。
負荷電流iの式は
電線路電流i’の式は
参考
P点から電流がA点側、B点側に分流されているというイメージを持てたら、混乱しないだろう。末端であるA点、B点の電線路電流は小さい。
もし、A点基準の積分変数ℓの式で、B点(ℓ=L)まで積分したら、かなり大きな電流になる。
そもそも積分は、負荷電流の合算値である電線路電流を求めるために行っているものである。
P点で枝分かれしていることから、A点基準で電流をℓを0~Lまで積分するという発想はおかしいと気付かないといけない。