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電験の誘導電動機で点を取る効果的な問題【周波数からすべり算出&トルク推移】

勉強を頑張っている方、本当にお疲れ様です。

今回の記事では「誘導電動機のまとめ」とも言える問題を共有するので是非解いてみて欲しい。

※分からない問題、公式の展開が分からない等があれば下記のフォームから連絡頂ければと思います。

※試験直前で混み合っていますのでメールでの回答にして頂けると大変助かります。

 

本題に入ろう。

誘導電動機で点を取る

「誘導機」で出題される形式というのは実は限定的である。特に計算問題は押さえるべきポイントというものが存在する。

 

ちなみに自分は約5年以上前から解いている問題がある。(とはいえ、ちゃんと身に付いたのは電験1種に挑戦した約5年前)

 

しかしながら、今回紹介するような軸となる問題をインプットしておけると多くの局面で対応できるようになる。

 

先日お伝えした通り、自分はエネルギー管理士に挑戦をした。しかし、電験の勉強相談や仕事も相まって時間がなくなってしまった。

 

結果、課目Ⅱと課目Ⅲは自分の力を信じてほぼノー勉強でいった。

 

常に問題が解ける理由

武士であれば技量は日常から備えてあるもの。戦いだからと言って身構えるものではない。

エネ管ではこの言葉を体現してみたのだ。(格好良く言うとね(本気で課目Ⅰ(あまり意味のない)を必死に10年分暗記したのは言うまでもない))

一方で、課目Ⅱ「電気の基礎」の問4は満点が出た。

 

満点で確かに嬉しかったのだが、自分が合格しようが何点取ろうが、そんなことはどうでも良い。

ここまでの話で何が言いたかったかというと

公式と問題をセットで覚えていると場合によっては問題を見てその場で計算して解くことができる

ということ。

 

そう。

各分野で点に繋がるような問題をきちんと整理しているから自分は点が取れたのである。 

 

ここを共有すべきだと考えて今年一年はやってきた。大失点しやすい電力科目の配電はだいぶ攻めたし、法規もだいぶ攻めた。

 

いよいよ集大成。

機械科目の誘導電動機、同期機、直流機をまとめていく。(光も怖いので整理する(光は苦手))

 

 

誘導電動機計算の問題①

問題文

ある負荷(定トルク)をかご形三相誘導電動機(4極、50Hz、1455rpm)にて可動している。電源周波数を変え、運転条件を変更することにした。周波数が20Hz、二次電流は周波数変更前と等しくなるように電源電圧の大きさを調整した場合、電動機の回転速度はいくらになるか??

解答

実際、この手の悩みは小さな施設を運用するとなると発生する悩みでもあるし良問だと思う。

過去、似たような問題が出題されていることもあって、多くの知識がないと解けない問題。

まず、問題文を読んだ時に「どこから攻める??」と悩む人は少なくないだろう。切り口はやはり与えられているヒントからだ。

久しぶりに解くと「うっ」となることが過去あった。

躓くポイントはトルクの比例推移でもなく、与えられた速度からすべりを算出するわけでもない所にあるだろう。

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この手の問題を解くのコツは 

「ヒントを書き出す」

という所にある。

「定トルクで二次電流が等しい」という設定は周波数変更前後でトルクの式を立ててイコールで繋げというメッセージだ。

RPGゲームの主人公が誘導されていくように、機械科目、特に誘導電動機は道筋が決まっていることがほとんど。

トルクを見ると、周波数を変えたので同期速度が変わるが数値が入り、二次抵抗は定数だし、二次電流も変化しない。

残っているのは周波数変更後の「すべり」だけ。

故に式を解くと、すべりが求まる。

❑得られる知識❑

・トルクの式

・同期速度の式

・すべりの式

・トルクと二次電流の考え方

・周波数と同期速度と回転速度の考え方

・トルクが等しいときは変更前後でイコールで結び、同じ値は両辺で削除できること

 

誘導電動機計算の問題② 

問題文

巻線形三相誘導電動機にて定格負荷は下記の通りで、(a)80%負荷を運転したときのすべり、および(b)二次側抵抗制御にて抵抗値を(a)の2.5倍にしたときの回転速度を求める。

ただし(a)のときは二次側巻線は短絡させるものとする。またすべりとトルクは比例関係にあると考えること。

【定格負荷の運転状況】

定格周波数60Hz、P=6、N=1170rpm

 解答

これは非常に厄介な問題の一つ。

まずは手当たり次第に定格負荷運転時の同期速度、すべりを求めると良いだろう。どんな問題でも書き出してみると糸口が見つかることが多い。

トルクから攻めようにも式を立ててみると気が付くが、二次電流についてはヒントが与えられておらず、定格負荷運転と80%負荷運転の比較ができない。イコールで結ぶと(T=T/0.8)すべりと二次電流が分からないので詰まってしまう。

 

ここでヒント「すべりとトルクは比例関係にあると考えること」を使う。

実際、電験ではこの手のヒントが好まれて使用される。

「比例関係にある」という文言が来たら、素直に式を立てること。

「トルクの式におけるすべりは分母に入るから・・・」

などと変に考えてしまうと、逆数で比を取ってしまったりする。これは非常に多いミスだ。

実際に解く様子を共有しておく。

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※すべりは0.025で求まるが、回答は2.5%となるので注意。自分はこのあたりが雑なので0.025%として、選択肢にないな!となってしまうことがある

 

(b)二次抵抗を入れ込む問題

「二次抵抗を入れる」「二次抵抗を短絡する」「巻線形」などといった言葉が入った時点で「トルクの比例推移」をほぼほぼ使うことになるだろう。

実際に(a)ですべりが求まれば、二次側抵抗を増やしていく場合を計算することができるのは比例推移の公式通りだ。

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❑得られる知識❑

・比の立て方

・同期速度の式

・トルクの比例推移の考え方

・回転速度の求め方

また「定格負荷運転時の回転速度」と「同期速度」は一緒じゃないのか??などといった疑問を持たれる方がいるが違う。

同期速度はS=0のときの速度。

すべりが発生していないのだ。

そこから重い負荷を載せていき、固定子と回転子にズレを発生させてトルクを発生させる。(固定子側が回転子を引っ張るイメージ)

 

回転速度とトルクのグラフを思い出して欲しい。

すべりは0から大きくなるにつれて、比例関係でトルクも大きくなる。ある程度の所で最大トルク(停動トルク)となる。※

※これを超えると電動機は停止してしまう。ここを定格にすると危険なのは素人でも想像がつくだろう。

 

つまりはすべり0から停動トルクの間に「定格運転」を電動機製作者は設定するのである。

下記の資料がインターネット上にあって分かりやすかった。5ページ目に停動トルクとすべりの関係が分かる図がある。

❑資料❑

https://www2-kawakami.ct.osakafu-u.ac.jp/osakafu-content/uploads/sites/407/Lecture_Data/Electrical_Machinery_II/01_Lecture/13_lecture_electrical_machinery_II.pdf

 

まとめ

非常に重要な知識を凝縮した問題を紹介した。

あなた自身がこれまで問題を解く中で得た経験値に加えて、この応用問題を経験することで確実にステップアップできるはずだ。

試験本番さながらの問題レベルではあるが、頑張って公式を使いこなせるようになって欲しい。

 

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直前だからこそ、高い吸収率があるので勉強に遅れが出ていても気にすることなく頑張ってみて欲しい。