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電力系統用の遮断器における代表的な電流遮断現象

電力系統の遮断器の電流遮断条件について、代表的な下記四条件を整理した。

「進み小電流」
「遅れ小電流遮断」
「端子短絡故障遮断」
「近距離線路故障遮断」

進み小電流遮断

無負荷送電線などの充電電流(進み電流)を遮断した場合に再点弧すると、異常電圧が発生する.

進み電流遮断時では、電流の零点で遮断されるが,線路側に対地電圧の最大値に近い充電電圧が残る。一方で、電源側は電源電圧によって変化する.

電流遮断後 1/4 サイクル以降、線路側電圧と逆極性になることがこの事象の重要なファクターである.

遮断器の極間電圧は遮断器両側電圧の絶対値の和である。その電圧が極間の絶縁を上回ると極間に再びアークが生じ、振動電圧が生じる。通常電圧の 3 倍程度の大きさの異常電圧となることが分かっている.

※理論では再点弧が繰り返され、さらに高い電圧になるとされている。遮断器の責務として、再点弧しないことが重要である.

遅れ小電流遮断

誘導性負荷を遮断するとき(変圧器励磁電流の遮断時、高電圧電動機の無負荷電流の遮断時)、電流さい断現象によって電流が零になる前に電流を遮断することで、負荷側に異常電圧を生ずる.

これらの電流を消弧力の強い遮断器で遮断すると、電流さい断によって電流変化率dI/dtに比例した異常電圧が生じてしまう.

異常電圧の大きさは常規対地電圧の 3~5 倍程度になると言われる.

端子短絡故障遮断(BTF)

英「Breaker Terminal Fault」

電源側と接続された遮断器の負荷側送電線路の近傍において、地絡および短絡故障が発生した場合に故障電流を遮断すると、すべての電源からの電流がその遮断器を通過することになる.

変電所最大の故障電流であり、この故障電流遮断を端子短絡故障遮断と定義する.

※定格遮断電流は上記の三相短絡電流から決まる.

近距離線路故障遮断(SLF)

英「Short Line Fault」

電力系統の遮断器から数 km 線路上での短絡故障を遮断する場合、近接点故障の場合よりも短絡電流が小さいにもかかわらず、再起電圧が高くなり、遮断できないことがある.

これを近距離線路故障と定義する.

まとめ

資格の試験問題にも出題される遮断器の条件を整理しました。

教科書だと、分かりにくい文章が多いので、できるだけ簡単な用語で説明するよう、心がけました。

勉強の助けになると幸いです。