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【電験攻略】送電線のたるみの公式が覚えにくい理由(送電分野⑦)

本日の夜、送電系統の「たるみ」について、記事配信する。

送電分野の代表格なので、自分自身も楽しみである。最近は、24時間の大半を現場仕事と事故解析に費やしている。
今日18時に帰ることができれば、アップできそうだ。
23時に帰宅というパターンが多いので、いつも一日遅れの配信(通常配信日は水曜 金曜 日曜)で申し訳ないです。

ただ役立つ記事を配信することだけは約束致します。

【電験完全攻略】送電線のたるみを攻略する
(2019年3月30日追記)

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今回のテーマは「送電線のたるみ問題が解けるようになること」

「送電線のたるみ」は計算だけではなく、文章で出題されたこともある。

電験において、重要な分野なので何となく勉強するのではなく、ステップを踏んで学習しよう。

具体的なステップとしては大きく分けて3つ。

①たるみ自体がどんなものかイメージを持つ

②公式をきちんと覚える

③使えるようになる



まずは「送電線のたるみ」から説明する。

送電線のたるみとは何か

送電線は実際に架線(※)すると、送電線の重さもあり、まっすぐには張れない。
送電線がたるむのである。

(※) 送電線を取り付けること

ただ、ものすごい力で無理やり張ることはできる。

しかし、そうすることで様々な問題が発生する。
それをこれから説明していく。

【参考情報】
このたるみは、双曲線になるのでカテナリー曲線とも呼ばれる。

たるみ度合を決定する要因

たるみの量を決定するための要因には大きく分けて4つある。
①電線にかかる荷重(引っ張り荷重と自重)
②電線の伸縮
③電線の振動
④送電線間距離と地表上の高さ

①電線にかかる荷重

引っ張り荷重「風から受ける荷重」「氷雪から受ける荷重」と「電線自体の荷重」を考慮する必要がある。荷重量は、電線の安全率の範囲内でなくてはいけない。

②電線の伸縮

夏季と冬季では「電線の伸縮」がある。電線の伸縮が生じると、電線のたるみ自体が変動してしまう。これを考慮していなくて、送電鉄塔に想定外の力が加わってしまったといった事象も実際にある。

③電線の振動

電線は、屋外に布設されているので言わば野ざらし状態である。風や氷雪の落下等により、電線は振動する。
糸をピンと張った経験は誰にでもあると思うが、糸を張れば張るほどに微振動が生じたことを覚えているだろうか。
送電線でも同様のことが起こる。張力が大きすぎると、微風振動が起こりやすくなってしまうのだ。

④送電線間距離と地表上の高さ

実際の現場では、送電線が道路や建造物の障害にならないように布設しなくてはいけない。そのため、送電線間距離と地表上の障害物との距離を考慮した現場施工が要求される。 

電線のたるみ公式

たるみを求める公式を紹介する。
電線のたるみを決定する要因である「荷重」「水平張力」「送電線間の距離」が公式中に組み込まれる。

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実際に公式を使って問題を解いてみる

下記の問題は、2006年に出題された電験3種の実際の問題である。

支持点間が250mの架空電線路がある。電線1mあたりの重量は20Nで風圧荷重はないものとする。水平引っ張り荷重が40kNの状態で架線されているとき、たるみD(m)の値として、最も近いものは次のうちどれか。

 

少し頭の中で考えてみよう。

公式のどこに、どの数値を入れればいいか考えてみよう。

 

 

 

 

 

 

【解答】
実際に公式に入れ込んでみると
D=20×250/8×40×1000
 =3.9

答え:3.9(m) 


 
公式を整理した後だと、随分と解きやすかったのはないだろうか。

特に、電験3種では「公式のパラメータの一つ一つを理解すること」でかなり解きやすくなるのだ。

裏を返すと、問題文が公式に沿うようにできているとも言える。

暗記だけでは解けない・・・と言った背景にはこういったことが隠れているのである。


理解することで一気に点が取れるようになる。

まとめ

以上「送電線のたるみを攻略する」の記事になります。

いきなり公式を覚えるだけではなく、「たるみがどういったものか」「たるみは何故生じるのか」を理解してから、公式を見て実際に問題を解いてみました。


イメージを持った上で計算に入ると理解しやすかったと思いますが、とある電験講座では、物事の本質を説明せずに、公式を10回書いて、問題を解かせるといったことを行っていました。

この勉強方法をやってみると気付くのですが、すごく忘れやすいんです。

その一番の原因はわかっています。

人間は意味がわかっていない事・興味のない事はすぐに忘れてしまうのです。

人間の脳の仕組み上、このあたりの事象のメカニズムはもう明らかになっています。人は、その人にとって「意味」「価値」のないものは忘れる仕組みになっているので意図的に何かしてやる必要があります。

例えば、この公式の「8」を忘れる方というのはものすごく多いです。

今回紹介した公式には「覚えにくい要素」が詰まっているのです。
式を見てみると、WとSとTという英字が並び、さらに二乗までもあります。とても覚える要素だらけ。

8など覚えていられないのだ。


その覚えにくさを解消するために、イメージを持つことが効果的。

たるみが大きくなる場合をイメージすること。

・送電線が重いと、たるみは大きくなるだろう。

・送電線間の距離が広いと、ものすごく、たるんでしまうだろう。

・一方で送電線をきつく引っ張ると、たるみは減る。

これらをイメージした後に、「8」だけを覚える。
そうすると、めちゃくちゃ忘れにくい。

「WS2/8T」

 

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