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【電験完全攻略】変圧器の安定巻線が用いられる理由とその効果を説明する

安定巻線とは何か

今回の記事では、変圧器の安定巻線について学ぶ。
この安定巻線は勉強を続けていくと、ところどころで見かける。しかも、点に絡む機会が多いという特徴がある。

こういう点に絡みやすいものは、今後も適宜紹介していく。
 

まず押さえておいて欲しいこと

以前の記事では、変圧器の結線に関する内容をできるだけ完結にまとめた。

非常に覚えやすいように仕上がっているため、一読して頂けると理解が深まると思う。(電験で点が取れるように仕上げてある)
 

問題を解いて、さらに理解を深める記事 
 復習も済んだところで、安定巻線の定義を紹介する。
 
安定巻線とは
「Y-Y結線の時に、三次巻線として組み込まれる巻線のこと」を示す。



どういうことか、深堀して説明していく。


変圧器をY-Y結線することで、変圧器の1次側と2次側の電圧は同相になる。
そこでYの利点を生かし、中性点を接地したとする。



ここに、どんな問題があるだろうか。



答えは
「中性点から大地に第3高調波が流れてしまう」のである。


こういう欠点がまずYーY結線にはあることを押さえておいて欲しい。

では、この第3高調波がどんな影響を及ぼすかというと

「周辺の通信線に誘導障害を与えてしまう」のである。
 
 

安定巻線の効果

安定巻線として、△結線の巻線を変圧器内に取り付けることにより、第3高調波は安定巻線内を還流する。(その安定巻線の一端は接地しておく。)


中性点を接地しない場合は第3高調波が流れず電圧波形が歪むのを防ぐためにYーY結線を採用しても、誘導障害を起こしてしまっては意味がないので、環境に応じて安定巻線が用いられる。


ここからは難易度が高い話になるが、覚えておいて欲しい。

ここからは高調波の話ではなく、事故時の話を少し紹介しておく。この知識は電験2種以上だと稀に求められることがあるからだ。

通常、平衡を保っている電源状態では三相電圧は互いに打ち消しあうので、零相電圧は発生しない。
つまり、安定巻線に電流は流れないのだ。

しかし、地絡事故等が発生し、1相が欠相した場合など、平衡状態が崩れるケースがある。

そうなると、零相電圧が発生し、安定巻線には電流が流れる。電流が流れるということはインピーダンスが下がることを意味する。

より継電器での検知が簡単になる。

こういったメリットも安定巻線にはあることを押さえておこう。