本日の夜、これまでの経験と勉強してきた内容を合わせた記事を配信する。
テーマは「絶縁診断」についてだ。
当然、電験で覚えるべきポイントに特化する。
実務に関わる部分も解説するので、電験2種の二次試験を受験予定の方は参考にして頂けると思う。
単純に楽しみながら、インプットして頂けると役に立つだろう。
2019年6月19日追記
電動機の絶縁劣化
電動機は、特に運転中において様々なストレスを受ける。回転機器であるので、常に振動しているため、機械的影響を受ける。また、電動機の設置される環境によっては、ダストや塩分の影響も受ける。さらに、電圧がかかっているため、電気的な影響も受けるし、発生する熱からの影響も受ける。
絶縁劣化が継続すると、最悪「絶縁破壊し、短絡や地絡といった事象」に発展してしまう。
このあたりを整理しよう。
要因ごとに整理しておくと、覚えやすい。
特に、電験2種1種だと二次試験では文章を書く必要が出てくる。
その際は、箇条書きで書いたりすると、わかりやすいので点が取りやすくなるだろう。(敢えて、ゴチャゴチャに書いて点を貰いに行く戦法もあるにはあるが、やめた方がいいだろう。高等技術だ。このあたりは別記事で)
4つの絶縁劣化原因
絶縁劣化の原因を大きく分けると「4つ」
①電気的劣化
②熱的劣化
③機械的劣化
④環境的劣化
それぞれの特徴を見ていこう
電気的劣化
電動機の巻線は、新品としても絶縁層にはボイドがあったり、表面部分に凹凸があったりする。それらが原因で、下記の現象を引き起こす。
①部分放電現象が起こる
絶縁層にボイド、表面上の凹凸により局所的に電圧が集中し、部分放電が発生する。極めて短時間だったりするのだが、その積み重ねで、小さな傷ができてしまう。
②水トリ―現象が起こる
小さな傷ができると、より部分放電現象が起こりやすくなり、そこから木の根のように、傷が深くなっていく。どんどん絶縁層に深い傷が形成されていく。これを水トリ―現象と呼ぶ。
熱的劣化
電気的劣化に並ぶ絶縁劣化原因だ。
熱的劣化で下記の事象が発生する。
①絶縁材にクラックが入る
絶縁材は熱に晒されることで、酸化現象、分解といった材質変化が起こる。これらにより、絶縁材の中のボイドが影響を受けたり、酷い場合にはクラックが入ったりする。
機械的劣化
電動機の始動・停止、負荷の増減が繰り返されることにより、下記の事象が発生する。
①絶縁物が摩耗する
運転時の微振動により、絶縁材に摩耗が発生してしまう。
また、点検時にローターを引き抜いて点検をする場合に、絶縁物をぶつけてしまうといったシンプルな事象ではあるが、昔から多発している。
②絶縁材にへこみ
絶縁材は意外にもへこむ。現場には角が多いが、そういった部分に絶縁材を当ててしまうと、ローター自体の重さがあるため、すぐに傷が入ってしまうのだ。人が触っても気が付かない傷ほど怖い。実際に運転を開始して数ヶ月に水トリ―が発生した故障もこれが原因だった。
環境的劣化
絶縁材は、湿分やほこりを含んだ空気に触れる機会が多いため、下記のような事象を引き起こす。
①表面の汚損
表面が汚損することで、絶縁破壊電圧に大きなばらつきが表れてしまうことが実験で分かっている。電動機の設置される環境は、屋外、たとえ屋内であっても、周辺で工事施工を行っている場合があり、汚損されやすいので注意が必要だ。
まとめ
本記事で押さえて欲しいことは、絶縁劣化には4つの原因があること。
①電気的劣化
②熱的劣化
③機械的劣化
④環境的劣化
あと、それぞれの劣化原因の具体的な事象。
・電気的劣化には「部分放電現象」「水トリ―現象」があること
・熱的劣化には「材質変化からクラックが起こる」可能性があること
・機械的劣化には「絶縁物の摩耗」「絶縁物に傷」があること
・環境的劣化には「表面汚損から絶縁破壊電圧の低下が起こる」可能性があること
このあたりが電験で出題されるので、覚えておくと点が取れる。