この記事では 「CTとVT(PT)の違い」といった計器の話をします。CT比(変流比)やVT比(PT比)(変圧比)といった概要を学んだのち、2次側の短絡・開放という深い話を解説します。
CTとVT(PT)について、恐らく混在してしまっている人がいると思いますので、役立つ記事となるでしょう。
本題に入る前に、簡単な自己紹介をしておきますね。
10年近く現場経験を積みつつ、電験も徹底的に研究している桜庭裕介です。
どのくらい研究してきたかというと・・・
・電験1種の過去問を約20年間分(昭和分を入れるともっと)
・電験2種を約20年間分
・電験3種は約15年間分
「昨年の電験の試験問題」を的中させることができました。
現在は「電験マガジン」「参考書作成」「会社設立」「雑誌連載」「講義」を頑張っています。
本題
❑本記事の目次❑
1.CTとVTの違い
2.CTとVTの理論は理解しておくこと
3.CTの詳細解説
4.VTの詳細解説
5.CTとVTの短絡・開放トラブルを解説
今回の話は忘れやすいです。
現場で作業する際はきちんと手順書、要領書に記載しておくと良いでしょう。
それではきちんと順を追って説明していきます。概要を知った上で理論を理解し「短絡と開放の事象」を学ぶことで記憶に刻みやすくなります。
1.CTとVT(PT)にはどんな違いがあるのか
結論から言うと
CTは二次側「開放厳禁」
VTは二次側「短絡厳禁」
である。
その根拠としては
「VTの1次側には電圧がかかっている」
「CTの1次側には電圧ではなく、電流が流れている」
ここがPT、CTの短絡開放事象を理解する鍵となる。
本記事ではここを理論的に説明していく。
電気の仕事に従事していると「理論はわからないが作業をしている」ことは実際ある。ふとしたときに疑問に思うのだ。
この記事の内容は正直、自分は最近までよくわかっていなかった。
ただ間違ってしまうと
・「焼損」してしまう
・「バチッ!!!」と破裂する
ことは知っていた。
そのため、CTやVTを使用する作業の際には必ず手順書や仕様書で確認することにしていた。
「なぜ、焼損するのか」
を理論的に理解していなかったので、今回、質問を受けたのを機に勉強し、記事にまとめることにしたのだ。
2.CT、VTの理論を知っておく価値はある
電気の仕事は難しい。
うっかりミスだけでも、重大な事故に繋がってしまう。
そのうっかりを防ぐためには「理解」が重要である。
理解をしていると、ミスというものは激減するためだ。電気エンジニアとして理論を知っておくことは必須である。
電験では「CTの二次側を開放したら、どうなりますか?」といった問題は過去に出題されたことはない。
では、覚える必要がないかと言われれば決してそんなことはない。
「CTとVTの違い」を理論的に説明できるようになるためには「変圧比」「変流比」を知らないといけない為だ。
変圧比や変流比は電験でも重要だ。
CT、VTの勉強を機に合わせて覚えておいて損はない。「比に関連した公式」に強くなろう!!
それでは、まずはCT、PTのそれぞれの定義から確認しよう。
❑参考情報❑
VTとPTは同意であり、現在はVTと呼ばれることが多い。古い設備だとPTといった記載があったりする。
3.CTとは「計器用変流器」
※CT:Current Transformer
通常、対象回路の電流を計測するために電流計を設置する。
しかし、対象回路の電流は大きいため、電流計には直接流すことができない。
そのため、電流計に流すことのできる電流値まで変流するのが「CTの役割」である。
(多くの場合、5A程度)
調べる中で、下記のホームページが一番分かりやすくまとめられていたので紹介しておく。
【富士電気テクニカ株式会社のホームページ】
https://www.fujielectric.co.jp/technica/beans/05.html
CT比について
CT比とは「変流比」のことだ。
CTについて勉強しているような人や現場でCTを使用するような人は必ずと言っても良いほど「CT比」の話を知っておいた方が良い。
この式を知って、一次巻線と二次巻線が何故に沢山巻いてあるかを理解できるはずだ。
そう。
鉄心を真ん中に置いて、一次巻線と二次巻線の巻き数を変えることで下記の変化が起こる。
つまり、一次側に入力した電流を大きさを変えて、二次側にアウトプットさせることができるのだ。この変流比のおかげで、大電流を計器で計測できるようになる。(測定器に1A流れていたら、実際回路に流れている電流は5Aといった具合だ)
❑ワンポイントアドバイス❑
変流比を必ず覚えておくこと。
特に、電験を受験する人はこういう定義を疎かにしていると、計算問題でどんどん点を失うことになる。
4.VTとは「計器用変圧器」
※VT:Voltage Transformer
CTと同様、電圧計に印加できる電圧値まで降圧するのが「VTの役割」である。
(多くの場合、100V程度)
対象回路はパワー回路であれば大体の場合、電圧計の計測範囲外である。
そのため、VTはほぼ必須であることを覚えておこう。
施工時にVTを接続し忘れたり、抵抗を挟むのを忘れて、計器破損してしまっては冗談では済まされない。笑うかもしれないが、疲れていると往々にしてあり得ることなので気を付けたい。
VTについても、下記のホームページが一番分かりやすくまとめられていた。
【富士電気テクニカ株式会社のホームページ】
https://www.fujielectric.co.jp/technica/beans/05.html
VT比について
VT比とは「変圧比」のことだ。
❑ワンポイントアドバイス❑
変圧比を変流比と比較して、違いをも覚えておくと得をする。
特に、電験を受験する人はこういう定義を疎かにしていると、計算問題でどんどん点を失うことになる。
5.CTは「2次側開放で焼損」VTは「2次側短絡で焼損」
この現象の原理をきちんと説明できる方は自分の知人含めて少ない。
「変圧比と変流比の違いでしょ?」といった回答をする技術者もいた。(自分の先輩や他社の施工会社の方も間違っていた)
答えを言ってしまうと
CTとVTで行ってはいけないことが違うのは
「構造上の違い」が原因
である。
検出元をよく見て欲しい。
日本配電制御システム工業会のホームページが特に分かりやすかった。
VTの検出元を見て欲しい(赤線で囲った範囲)
次にCTの検出元を見て欲しい
ここで分かること
2つの画像からわかることは
「VTの1次側には電圧がかかっている」
「CTの1次側には電圧ではなく、電流が流れている」
この違いこそがこの事象の根本要因だ。
VTの2次側には電圧がかかっている。その状態で2次側を短絡するということは「0Ωの回路に電圧を印加すること」と等しい。大電流が流れるのだ。
同様にCTには2次側に電流が流れている。その状態で2次側を開放するということは「高抵抗を挟みこむこと」と等しく、高電圧が発生してしまうのだ。
いずれも絶縁が破壊され、機器が破損する。さらに、制御盤内であれば地絡保護継電器が動作したり、最悪、人がケガをする可能性もある。
たとえ瞬間的であっても、CTおよびVT内で1次巻線と2次巻線間で短絡してしまう可能性もあるので、絶対に間違ってはいけないのだ。
まとめ
以上「CTとVTの違いって結局何なのか。2次側を短絡?開放?すると焼損する。」の記事となります。
お役に立つことができたでしょうか。
資料を整理しております。もう少し加筆を予定しています。ブックマークして頂けると、情報を届けられるので嬉しいです。
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追記(2021/10/22)さらに進化しました。「電気(電験や電工)を学びたい人」「ビジネス本を実践したらどうなるのかを知りたい人(テクニック論を実際にやってみるのが自分です)」「身近な所で会社を作って上手くいっている人の実例を知りたい」「実際に仕事を創って仲間でやり遂げる」など、かなり展開させています
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❑最新改訂履歴❑
2020年5月18日 記載の充実化