前回記事の「平成29年問1問2問3問4」の続きとなります。
(https://strategy.macodenken.com/entry/2020/04/02/165407)
昨年、電験2種では「網羅的にポイントを解説していく」というコンセプトでプロジェクトを走らせたところ、結構、効果的でした。
これを電験3種にも横展開させてみようと思い、頑張っています。
細かい勉強をするなら、やっぱり
過去問
が向いていて
ネット記事が効果的で有益なのは
・ポイントを隙間時間にササッと押さえる
・過去問で勉強する気にならない
・仕事中に勉強したい
この3点だと思う。
知識を刷り込む際に使えるようにできるだけ、分かりやすい工夫を加えていきます。
平成29年問3
「磁気回路」
磁気回路は正直難しいと思う。
ただ難しいと言っても、ゴリゴリ計算をする難しさではなくて、ジャンル別にやることを理解していて適切な公式を選べるどうかという難しさがある。
例えば、平成29年のコイルを使った「相互インダクタンス」を求める問題は、通常の磁気回路とはまた異質。(正統派や異質という表現は間違っているのだが。あまり見かけない、マニアックなという意味。勿論、電磁気では大事な分野だし、自分はここが得意)
≪問題≫
環状鉄心にコイル1及びコイル2が巻かれている。二つのコイルを図1のように接続したとき、端子 A−B 間の合成インダクタンスの値は 1.2[ H ]であった。次に,図2のように接続したとき,端子 C−D 間の合成インダクタンスの値は 2.0 [H] であった。このことから,コイル1の自己インダクタンス L の値 [H] ,コイル1及びコイル2の相互インダクタンス M の値 [H] の組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,コイル1及びコイル2の自己インダクタンスはともに L [H] ,その巻数を N とし,また,鉄心は等断面,等質であるとする。
この問題は、実は高専卒の人であれば、即答できる。何故なら、「電磁気工学」の授業で高確率でそのまんま学んでいるからである。
優秀・優秀ではないという話ではないことに気が付いて欲しい。
この問題は
「差動接続」「和動接続」
を理解していれば、簡単に解けるのだ。
コイルに電流が流れた時、右ねじの法則で磁束が発生するが、打ち消し合うような巻き方をしている図1は「差動接続」
その逆が図2だ。
図1のインダクタンスは
L+L-2M=1.2・・・①
図2のインダクタンスは
L+L+2M=2・・・②
①+②をして、Lを求める。
①-②をして、Mを求めてやればいい。
答えは(2)だ。
数年に一回出題されるような分野の問題はこういった簡単な問題があるから狙う価値がある。
Twitterで「捨てずに、基本だけは押さえておくといいよ」とアドバイスする人は分かっている!と感じる。
逆にがっつり難しい問題ばかりやっている人は少し不安になる。
平成29年問4
「ヒステリシスループ」
ヒステリシスループは電験でよく出てくる言葉の一つだ。電験2種にも1種にも登場する。しかも、平成29年の問4はかなり簡単だった。
「定義をきちんと覚えておく」
という代表格の問題と言っていい。
まずは全体を学べと自分は伝えているが、こういう問題で点が取れるようにしておく為の助言である。
このヒステリシスループの意味は説明できるだろうか??
「磁性体」言うと、分かりにくいので「鉄心」という言葉を使う。
鉄心に磁界を加えたときに、磁化の強さ(B:磁束密度)はいくらか
そして
磁界を弱めていき、0にしたとき
鉄心にどれだけ残留する磁気があるか
一方で
B(磁束密度)が0になるには
どれだけの磁界が加わっているか
こういった鉄心の個性(パラメータ)を示したものがヒステリシスループである。サッカー選手で言えば、能力値みたいなものだ。
難しく考えることはない。
ずっと磁界を強めていっても、ある値で必ず鉄心の磁化の強さ(磁束密度)には天井値を迎える。
これは何となく、イメージがつくと思う。
そう考えると(ア)の答えは「磁界の強さ」を選べるはずだ。
(イ)については、磁界を弱めていって0になったとき、残留する様をaは示していることは一目瞭然だ。
そして、この勾玉みたいな図形は大きいほど、損失になる。(「ヒステリシス損」と言うので言葉も覚えておこう)
一つひとつの項目の要点を押さえておくことで点は取れる。
参考までにだが、こういった教科書のまとめを持っておくといい。自分のノートにまとめる経験をしておくと、忘れにくいものだ。
4科目1冊の参考書でない限り、大半はヒステリシスループのまとめは記載されているはず。