「配電の電圧降下計算に「×線数」は何故生じるのか」
※配電計算の質問をもらったので知識共有します。
この質問は「単相2線式」「単相3線式」「三相3線式」といった配電の仕組みから来る話です。
整理しておくと見えてくるものがあります。
おはようございます。
電験と電気業界を研究している桜庭裕介です。
初めての方もいらっしゃると思いますので、いつもの簡単な自己紹介を添えておきます。
❑電験研究歴❏
✔トータル100年分の過去問を分析
・電験1種 40年分
・電験2種 40年分
・電験3種 20年分
✔雑誌連載を開始
「理論の超入門」
❑TOEIC❑✔半年で885点取得
一言で言うと、電験をずっと分析してきた人間。
夢はある?と最近聞かれた。
電気、プラントの運転操作を教えて、自分が飯を食えれば最高だと答えた。
妻子なしなら、小さなアパートの一室で納豆や卵とごはんだけの食事で暮らすと思う(栄養の事は無知)
今後、確実に介護施設の問題が挙がる。
そこに貢献できれば良い。
そんな事を考えている。
8月になったこともあり、より具体的でかつ必要な知識を最小公倍数でパッケージングするような工夫をしています。
この時期だからこそ、吸収できる知識があると思うので共に頑張っていきましょう。
配電の電圧降下計算
まず「単相」から整理しておこう。
いきなり数式を見て、理解しようとすると高確率で混乱する。
2線式と3線式といった言葉を目にすることが多いと思うが、その違いは配線図を見ると分かりやすい。
単相3線式
この方式は200Vも100Vも取れるという優れものである。
(引用元:単相3線式と単相2線式の違い|一般の方向け|東京電力パワーグリッド株式会社)
単相2線式
こちらは1つの電圧しか取ることができない。(図だと100V)
(引用元:単相3線式と単相2線式の違い|一般の方向け|東京電力パワーグリッド株式会社)
単相2線式と単相3線式の比較
「単相2線式と単相3線式の仕組み」の記事もより具体的な回路図なので分かりやすい。上の東京電力の図を少し細かくした感じだ。
ここから本題になる。
「電圧降下の式に何故、2倍が出てきたり、√3が出てくるか」という話だ。
電圧降下の式
■単相2線式■
ΔV=2Ⅰ(Rcosθ+Xsinθ)
■三相3線式■
ΔV=√3Ⅰ(Rcosθ+Xsinθ)
であるが、色々探してみた結果、下記の記事が一番分かりやすかった。単相2線式、単相3線式、三相3線式を細かく説明してある。
結論としては
・単相2線式は往復する分の抵抗があるから「×2」しないといけない
・三相3線式は中性線が三相分の電流が混ざり込むので打ち消されるから0。故に復路分は抵抗は0なのでシンプルに1相分を考えればよい。
ちなみに単相3線式の場合、ちょっと話がヤヤこしい。
単相3線式
単相3線式は中性線に電流が流れるか否かで式が変わってくる。
故に電験で出題されるにしても、計算問題としてピックアップされる。穴埋め問題にしてしまうとややこしいからだ。※
※中性線に流れる電流が0としたときの電圧降下はR×Ⅰ^2の( )倍といった具合にピンポイントすぎる内容になる。一方で、そういう狙いうちに備えて考え方を覚えておくと良いだろう。三相3線式と同じで復路分の電圧降下がないので(1)倍と答えれば良い。
それより「バランサ」という話で問題にしてくる可能性の方が極めて高いだろう。こちらは難しいし、長くなるので別記事でインプット用で解説する。
高専の授業で習った気もするが、さっぱり理解することができなかったが、今はちゃんと勉強したら理解できた。
まとめ
以上「単相2線式の電圧降下計算に「×2」が出る理由【三相とも比較】」の記事となります。
電圧降下計算の考え方を紹介しました。
Rcosθやxsinθは共有したサイトに出てきませんでしたが、考え方は理解しやすいと思います。
Rcosθやxsinθはベクトル図を書くことで理解することができます。リクエストがあれば、記事にします。
送電端電圧、受電端電圧のベクトル図は配電(電力科目)だけでなく、機械科目にも役立つ知識なので自分で手書きできるようになっておくと良いでしょう。