【連絡事項】
①2022年版のオススメ参考書を執筆依頼を頂き、書きました。※レベル別の推奨参考書を記載。社内で推奨する参考書も記載。
みんほしのレビュー
「みんなが欲しかった!電験三種の教科書&問題集(第2版)」について、使用感はどうなのか??
難しいとされる「理論科目」に有効な書籍なのか??
他の「電力科目」「機械科目」「法規科目」に役立つのか??
昨年の冬に発売された本書に関して、質問を頂いていますので、自分なりのレビューをさせて頂きます。
「みんほしレビュー」の結論
「みんなが欲しかった!電験三種の教科書&問題集(第2版)」レビューの結論としては4科目すべてにおいて
「電験書籍売上No.1」であるだけの分かりやすい参考書
であり
「基礎を学ぶ為には良い書籍」
だと思います。
イラストやレイアウトに工夫が見られます。めちゃくちゃ手がかかっています。その分、電気の勉強に苦手を感じる人でも他と比べて、拒否反応が少なく勉強をスタートできると思います。
1日数ページといった目標設定をすれば、楽しく学べる1冊になるでしょう。
まず最も多い質問から答えていきます。
みんほしの「欠点」は??
⇒「計算過程の省略」
「みんなが欲しかった!電験三種の教科書&問題集(第2版)」に関して、気になる部分としては「計算が省略されている部分がある」という点でしょう。
ページの都合等も影響していると思われます。ただこればかりは、他の参考書も似たような事が見られます。数学が分からない部分に関しては、ネット検索をしたりして勉強していく事が必要だと思います。
⇒「難問・奇問の省略」
また「難問や奇問は抜いている」という表紙の通り、本書には掲載されていない知識もありますので注意しないといけません。
ここに関しては、人によっては賛否が分かれると思います。自分なりに「参考書の位置づけ」を整理して、自分の戦い方に合わせて使うと良いと思います。
本書を活用すべき人
⇒「初学者」や「1から学びたい人」
本書のテロップに記載がある通り「初学者」にはオススメの一冊となります。また、電験のスパイラル(科目合格がリセットされた状態)に至ってしまい、かつ知識があまり残っていない人にも良書になると思います。
「1から学びたい」という人は気持ちを入れ替えるという意味で、活用しても良いかと個人的には考えています。試験問題が簡単な年度に当たった場合、合格ラインを少し余裕を持って超える事ができるでしょう。
まとめますと・・・
・これから基礎を学ぶ人
・基礎がグラついている人
・今までやる気が出なかった人
こういった人に向いている参考書だと思います。
本書の具体的な話
今回、「みんなが欲しかった!電験三種の教科書&問題集(第2版)」をレビューするにあたり、全ページ読み直した。極力、頭を真っ新な状態にして「本書だけを使ったらどうなるのか??」という視点でレビューをかけています。
まずは4科目全体を見通したときに共通して言える良い点を共有します。
良い点①「図が分かりやすい」
みんほしの良さは「とにかくイラストが多く、イメージを掴みやすい」という点です。
自分が電験3種の試験勉強を始めたのは10年以上前になりますが、特に機械科目のイメージが掴めていませんでした。
当時、数も少なかったホームページやブログを読み漁り、色々な所から図をピックアップしたりしていました。
本書ではその手間を省略できるというメリットがあります。
良い点②「読みやすい」
みんほしの良さには「馴染みやすさ、読みやすさ」がある点です。これから勉強を始めるという方の中には、これまで参考書や本も読んだ事がない人もいると思います。
そういった方にとって、無機質な文体は退屈であり、読む気にならない可能性がります。
そこを取り去った本書は凄いなぁと感じます。(自分も本を作成する立場になり、手間と大変さを知りました…)
字体もポップで、カラフルな色使いが特徴。
良い点③「試験範囲の網羅」
昨今の電験3種は点の取り方を意識しないと、思ったよりも点数が取れていないという事態が発生します。
何度も試験を受けていると「合格点の-10点付近」を意図的に取らされている感覚を受けます。
そこから脱却する為には「試験範囲を網羅した学習」が必ず必要になる。手薄になりがちな分野(王道になりつつある分野)をちゃんと勉強した方が良いと言う事です。
理論で言えば「計測、電子回路」。機械で言えば「電動機応用、論理回路、パワエレ、光、電池」
その点、歴史は浅いものの、優しい内容に仕上がっている「みんなが欲しかった!電験三種の教科書&問題集(第2版)」は役立つでしょう。
良い点④「約600~800超という物量」
「みんなが欲しかった!電験三種の教科書&問題集(第2版)」は改訂も入り、総ページ数が凄い。
理論科目
・教科書403ページ
・問題集435ページ
電力科目
・教科書415ページ
・問題集411ページ
機械科目
・教科書435ページ
・問題集363ページ
法規科目
・教科書379ページ
・問題集226ページ
ボリュームが多いものの、本書は教科書と問題集を切り離せるので有り難いです。
ここからは各科目の考察をしていきます。
理論編
■教科書について
0から学びたい人、知識をほとんど忘れてしまった人は本書が良いと思います。言葉の定義から学べるので、十分な知識が習得できます。ただし、高校や大学で電気を勉強してきた人にとっては解説が丁寧すぎて逆に読みにくい印象を受けるかもしれません。(図や字がチカチカしていると記憶しずらいという人もいました)自分なりにノートを作ってみる等の工夫をしていくと、基礎が定着すると思います。
■問題集について
コンデンサ、三相交流、過渡現象といった重要分野の問題量が多いのはとても有り難いです。この教科書&問題集のコンセプトで「公式知識と問題が離れている」為、勉強しにくさを感じる人もいます。また、出版社は、みんほしシリーズの「過去問10年」とのセット売りを想定していることもあって、もう少し問題をインプットしておきたい事にも気が付くでしょう。悪い点としては計算過程が省略され過ぎというコメントもAmazonサイトにありますが、他の参考書にも同じ事が言えます。「最強に分かりやすい」をアピールポイントにしているので余計に分かりにくい!と感じるかもしれません。(※ただし、最強に分かりやすいのは教科書であり、問題集とは書いてないといったコメントをしている人がいました。)問題集はオリジナル問題ではなく過去問を集約したものなので、C問題分類の問題は難しいです。全部解くには努力と工夫が必要になるでしょう。
■理論編の結論
学生時代の知識がなくなっている状態であれば「本書を手に入れる」という選択をするでしょう。ベース知識が残っている場合、簡単すぎる解説は逆に邪魔になるので、要点を押さえた参考書が欲しくなると思います。ノートを作ってまとめるという方法もありますが、理論については公式と公式導出を押さえていれば後は問題解きで解く能力を磨くだけなので時間のロスが大きいと自分なら判断するでしょう。ここは自分の現状に合わせてだと思います。いずれにしても、トライしてみてから方針変換しても良いでしょう。
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電力編
■教科書について
電力編では、試験で問われる用語のピックアップが幅広く行われており、これまで電気の勉強をしてこなかった人が躓かないように工夫されています。ネット検索をして、用語を調べる手間が格段に減るので活用するのも手だと思います。平成20年に入り、スポットネットワークをやたらと攻めてくる問題が続いてきましたが、それは巷の参考書が手薄であったことも関係していると思います。本書では綺麗な図と共に解説が付いているので嬉しい作りとなっています。ただ、どうしても「暗記」が必要になる科目であるから覚えこむ努力が必要です。この本書を買って綺麗なイラストと量に満足することなく、何度も読んで、自分で説明できるぐらいにしないといけないでしょう。踏み込んだ内容(難しい用語)は省かれているので、余裕ができたら過去問から吸収するなどして更なるレベルアップを図ると良いでしょう。
■問題集について
問題集については、問題数が充実しているのできちんとできるようになれば、かなり良い所まで点が伸びると思います。電力科目の計算問題は現時点で他の科目と比較して捻られる事が少ない為、型を押さえこめば点になるでしょう。難しい送電、配電の問題も充実しています。(ただし、解説が丁寧ではないというコメントもあります)落ちる落ちない人の差は「きちんと全部解けるようになったか否か」にあると思います。
■電力編の結論
基礎固めとして初めて電験の勉強するのであれば「本書を手に入れる」を選択します。ただ、電力の知識が少しあったり、もう既に参考書を持っているのであれば、追加で購入する必要はないでしょう。過去問で計算問題を押さえれば自ずと合格点まで上がっていく為です。
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機械編
■教科書について
みんほしの機械編では直流機、変圧器、誘導機、同期機の4機の基本公式を中心に丁寧にまとめて解説をしてくれます。波巻、重ね巻の難しい話を正直に「実機の話は気にしない」といったようなコメントを入れ、覚えるように促す解説していて凄い分かりやすいです。正直、波巻や重ね巻の説明をするのは難しいです。令和元年、令和2年と公式算出の過程を問う問題が問われており、公式暗記ではなく、理解がより求められる状況でありますが、他の参考書と同等の導出解説をしているので理解していない人にとって役立つ話になるでしょう。4機以外については、昨今の問題難化に伴い、如何にここで点を取るかが大切です。4機が難しくなればなるほど、他で取らないと苦しくなるという話です。17問で100点満点ですから、8問を間違えば合格基準点にかかることになります。逆に落としてもよい8問をどう分配するかという考え方もあるでしょう。光、論理回路、電池、電動機応用、制御、パワエレに関しては公式や基礎知識を十分学べる内容となっています。
■問題集について
基礎を学べる問題を中心にピックアップしてくれています。(10年前の電験3種のイメージがしっくり来るような問題構成です。)「基礎を学ぶ」「難問・奇問を抜く」というコンセプトに合っていると言える内容でしょう。
「過去問10年分をやるのと同じだ」というコメントがAmazonサイトにありましたが、それも一理あると思います。過去問をピックアップすると自ずと過去問の問題集になるからです。
教科書と紐づいて学べるという安心感が「みんなが欲しかった!電験三種の教科書&問題集(第2版)」にはあるという利点が強いと感じました。
■機械の結論
もし私が今から学ぶ人間、やり直す人間であるならば「本書を手に入れる」を選択します。
※今の自分は完全マスターでたたき上げてきた経験があって、知識が掲載されているページ数も、掲載されている問題も、イラストも、言い回しもすべて頭に入っているので、そのベースを崩されると困るので使用はしません。知識を場所で記憶していたりもするので、他の参考書に触れると混乱を来たす為、注意しています。たくさん参考書を持っていて成果が出ない人は参考書の絞り込みを推奨しています。「みんなが欲しかった!電験三種の教科書&問題集(第2版)」をその1冊にすることに対しては、自分は良いと判断します。
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法規編
■教科書について
法規編では他の参考書と同様、条文を軸に問題が解けるような工夫を入れ込んだ作りになっています。分かりやすいレイアウトと優しい字体が法規に苦手意識を持つ人に馴染みを与えてくれていると感じました。きちんと全ページを覚えこむことで点数は伸びると考えられます。各条文で大切な所(点に繋がる所)を隠して覚えるトレーニングは絶対にやった方がいいです。
■問題集について
法規科目の問題集は基礎の問題を入れてくれているので初学者にとって、非常に嬉しい内容になっています。この問題集に掲載されている問題はすべて解けるようにすると良い所までいくでしょう。穴埋め問題(文章問題)に関しては「問題数が少ない」ので注意が必要です。また、法規科目のB問題は13点、14点で構成され、計算問題が多くを占めます。本書では絶縁耐力試験を8問、力率を7問と力を入れるべき内容を押さえてくれています。計算問題は非常に重要である為、掲載されている問題は全て解けるようにした方が良いです。本書では難しい問題が省かれているので、ここは各自補填していく必要があるでしょう。
■法規の結論
「買っても良い1冊」という位置づけと自分は捉えました。本書をベースに戦っても良いと思います。あとは個人の好みが影響するでしょう。イラストが多めの参考書が良いという人は本書がマッチするでしょうし、シンプルな参考書が良い人は違う参考書にする人もいるでしょう。自分は「法規=暗記+計算」と無機質に考え、短期勝負をするタイプなので後者の色が強いです。「イラスト多めで楽しく!」「堅苦しい参考書が苦手」「まずは基礎固めをしたい」という人に向いているのが本書(法規)というのが結論となります。1冊持っておいて損はないです。
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まとめ
「みんなが欲しかった!電験三種の教科書&問題集(第2版)」のレビューをしました。
来年に向けて、頑張り始める方もちらほら見かける時期になりました。困っている方の参考になれば幸いです。
▪️電験マガジン▪️
note株式会社の審査を通り、活動を本格的にスタートしました。踏み込んだ話をしていますので研鑽したい方は一緒にやりましょう!
「みんほし」で数学に困る人に向けた計算式の解説もしています。