「理論科目の合格までに必要な勉強時間が知りたい」「大体の目安を知りたい」という質問に対して、今日は大分踏み込んだ話をしていく。
そして「挑戦」でもある。時間の算出というのは結構責任があるし大変だ。
おはようございます。
「電験マニア」という名前で世に出ることの覚悟を決めた桜庭です。現在は教科書のドラフト作成でほぼ寝ずに頑張っております。
初めての方もいらっしゃると思いますので、いつもの簡単な自己紹介を添えておきます。
≪実績≫
❑転職関係❑『残業10時間以下』&『年収変動なし』の企業に転職成功
※詳細を下記のnoteに集約
電気エンジニアとしての決断【超大手企業を退社する選択】
❑電験研究歴❏
✔トータル100年分の過去問を分析
・電験1種 40年分
・電験2種 40年分
・電験3種 20年分
✔雑誌連載を開始
「理論の超入門」
❑TOEIC❑✔半年で885点取得
一言で言うと、電験をずっと分析してきた人間です。
今日は「理論科目に必要な勉強時間」をより詳細に分析していこうというテーマでお話したいと思います。
優秀な人間にとっては「勉強時間などどうでもよくて、とにかく目標が決まってしまえば勉強するだけだろ!」と考える人もいる。
だが、そうでない人間もいる。自分だ。
今でこそ相当のトレーニングを積んだので自分には力がある。
だが昔はかなり貧弱だった。資格試験に挑戦する際は必ず勉強時間をネット検索していた。
実際、平成23年に行政書士に挑戦したが、その際は必要勉強時間300時間程度と言われていていたから挑戦した。だが、結果は不合格だった。
「勉強時間は最低500時間必要」という声もあったので仕方がないとも当時思ったりしていたわけだが、結局は問題を解く経験が少なすぎた事が原因。
2020年現在では「800時間」とも言われていて、問題難易度も徐々に上がっている。
電験3種理論科目に必要な時間を出す
行政書士の話を踏まえて「勉強時間」を考えてみた。
色々な経験をした中で分かったことが
「目安時間をクリアした」
としてもそれほど意味がないと結論づけたくなった。
資格勉強の本質はどこにあるのかというと
何をできるようになったのか
という点に尽きる。
だが、そこに目安時間は必ず存在する。
あくまで目安にしかならないものの
「やらないといけない項目」
が詳細にかつ明確になっていれば急に目安時間にも価値が出てくる。
学習者を見ていて感じるようになった。
特に電験3種のような広範囲資格試験にはそう言える。
例えるのであれば「登山」や「マラソン」。
・ある地点まであと何Km
・ある地点まであと何分
目安なんて正確ではないのだけれども「歩みを進めるモチベーション」になるのは間違ないし「道を大きく逸れることなく歩める」「ペース配分ミスの時間切れを避ける」というメリットもある。
250時間の勉強時間
多く見積もって、理論科目攻略には「250時間」が必要だと考えている。これは完全にバックグランドのない高校卒業の文系の方を想定している。
個人差は当然あるが、分野毎のページ数や難易度から算出した。優秀な人は勿論かなり早い歩みで進めていけるだろう。
※夜に最新版を配信予定だ。ざっくりとこれだけの分野があるのか・・・過去問に対応できるかな?問題は思いつくか?勉強進捗はどうか?といった観点で考えておいてもらえるとそれはそれで成長に繋がるはずだ。
下記の3点での時間をまず整理しよう。
①公式の理解
②問題とのすり合わせ
③復習
そこに
④過去問解きの時間:3時間
⑤復習時間 :1時間
⑥仕上げ時間 :1時間
を加算する。
大体、各項目で「過去問に向き合う時間」は作った方が良い。ここで問題を解く修練をするのだ。ここでの頑張りが試験本番で戦う応用力になる。
「基礎習得(①~③の時間)+5時間」と見ておけば余裕も生まれる。
直流分野にかかる時間
❑基礎習得にかかる時間❑
オームの法則 :2時間
合成抵抗 :2時間
キルヒホッフの法則:4時間
テブナンの定理 :4時間
重ねの定理 :4時間
抵抗の温度変化 :2時間
計18時間(トータル48時間)
≪詳細説明≫
直流分野は回路計算と密着に関係する公式ばかりだ。
分かりやすい分野だとしても、1時間で済ますことは難しいと考えている。オームの法則や合成抵抗の公式は習得しやすいものの、基本を押さえて一通りの回路計算を身に付けるのには2時間は見ておきたい。
やはり、キルヒホッフの法則は相当難しいと思う。初学者にとって、数式を立てるまでのハードルがとても高いように感じる。問題パターンは決まっているのでまずは基本の型を覚えたい。基本の型を覚えたら過去問で力をつけると良いだろう。
現に工業高校では1コマでなく2コマの授業が行われていたりとサラリと学習して試験問題が解けるようにはならない。
交流分野にかかる時間
交流回路の電圧・電流:6時間
交流回路の合成抵抗 :4時間
交流の平均値と実効値:2時間
ブリッジ回路の計算 :2時間
三相交流回路の電圧・電流:4時間
三相電力と二電力計法:4時間
合計22時間(トータル52時間)
≪詳細説明≫
交流分野は「波」という概念が入ってきて「時間」を理解する必要が出てくる。ここを苦手にする学生は多い。
そのため、交流波形という考え方の根本から勉強していく必要がある。グラフを書いたりしながら「周期」「最大値」「公称値」を理解する。
基本公式のパラメータを理解し、問題文で与えられた値を入れられる能力が必要になる。
これらの基礎は試験で出題されることもあるから疎かにするのはナンセンス。
インダクタンスが与えられ、周波数が与えられて単純に計算するような図がない基本計算問題が出ることも。また位相を問うような問題もある。
交流分野はB問題の出題も多く、大きな得点源になるので回路計算の中で公式を使いこなす作業を頑張ること。
電磁気分野にかかる時間
クーロンの法則:2時間
電界と磁界 :3時間
電界や磁界中での電子運動:2時間
コンデンサの静電容量:4時間
磁気に関する法則 :4時間
フレミングの法則 :4時間
導体・半導体の電気伝導:4時間
合計23時間(トータル58時間)
≪詳細説明≫
過去問から見た人が「うっ!」と感じるのがこの電磁気分野かもしれない。フレミングの法則はかろうじて見たことがあるかもしれないが、大体が初めてだったりする。
この分野の特徴としてはまず「公式を理解していないと歯が立たない」ということ。
また公式や定義の条件を疎かにしないようにしよう。「電荷という最小単位」の話であることもあれば、磁気に関する法則の中で出てくる「アンペアの周回積分の法則」や「磁気回路」では電気回路をベースとした話だったりする。
このあたりを把握せずに公式暗記しているとまず問題が解けない。
そして、公式が沢山出てくるということは復習が極めて大事になる分野だろう。
※出題頻度も高い上に「電子運動」はB問題でも突然問われたりするので、基本的に勉強時間は多めにしておこう。
電子回路分野にかかる時間
ダイオード回路:2時間
電子回路 :4時間
合計6時間(トータル16時間)
≪詳細説明≫
電子回路は相当の難しさなのであまり足を深く踏み入れない方がよい。だが、過去問を見て頂くと分かるのだが、かなり簡単な問題が出ることがある。その教養を身に付けておくと点に繋がる。まずは広く浅くといったところで授業2コマ分程度を見た。
ちなみにダイオード回路は地味に狙い目だったりする。問題が複雑になりにくい。素子の特性を勉強しまとめておくとサラッと点が取れたりする。この積み重ねが大事だ。
「勉強しておいてラッキーが2回続けば10点」というのが電験だからだ。
電気計測分野にかかる時間
電気計器(計器および誤差):2時間
電気計器(分流器や倍率器):2時間
電気計器(二電力計法(三電圧,三電流含む):4時間
周波数測定:2時間
合計10時間(トータル30時間)
≪詳細説明≫
この分野を苦手にする人は多い。(計測って仕事でも大変だもんね・・・)
だがB問題で来る。10点問題だ。ここをノーマークにするとかなり厳しい闘いになる。
電験の参考書によっては内容が複雑だからざっくりだったりする。しかし、この分野は基本的に型がある。
基礎から学んで過去問を解くという時間さえ投入できれば安定して点を取ることができる。問題文の長さに惑わされてはいけない。
まとめ
直流分野:48時間
交流分野:52時間
電磁気分野:58時間
電子回路分野:16時間
電気計測分野:30時間
合計204時間だ。
ここまでやれたら、かなり成長しているはずだ。過去問も何度も開いているはずだから知識吸収が確実に進んでいる。「この分野はあの問題形式だよね?」という予測がつくようになっていればかなりの成長と言える。
できればこの修練を試験1ヶ月前の8月前半まで行いたい。1日3時間学習でも2ヶ月はかかるからハードだ。
だが、この数値は全くの素人に対して勉強を教えた経験を踏まえたものでもあるので、実際電験に挑戦する人の大半はバックグラウンドがある。
オームの法則や合成抵抗はできますよ!という人もいるだろう。その人はその分基礎習得の時間が減ると考えて良い。
冒頭にお伝えしたが
各項目が問題と戦えるか
ここが一番大事なので、ここを「基準」に考えてみて欲しい。
■勉強時間まとめコラム■
電験三種合格の必要勉強時間【電験受験申込前に読もう】
自分事です。
❑最大の挑戦❑
電験の教科書を出版するという一世一代の仕事に挑戦中です。既存の出版物にはない活きた資料を目指す一方で、普遍的な根本知識を集約したまとめ本でもありたいと設計しています。スポーツで言えば「体幹を作る」といった勉強資料になって欲しい。電験の延期や中止という話が飛び交ったこともあり「来年挑戦しますわ!」「違う資格挑戦します!」という方もいます。実際に中止になってしまった場合、そこで役立てるような資料になれば良いと考えて頑張っています。
こんな状況ですが腐らずに御互い頑張っていきましょうね!