「電験3種の配電計算で点を取っておきたい」「でも、試験本番で解ける気がしない」
そして「配電計算は捨てる」という決断をする。
この思考に至る理由は十分に理解できる。
誰だって最近の試験問題を見ればそう考える。
本題に入る前に、自己紹介を先にしておく。
おはようございます。
電験と電気業界を研究している桜庭裕介です。
❑電験研究歴❏
✔トータル100年分の過去問を分析
・電験1種 40年分
・電験2種 40年分
・電験3種 20年分
✔雑誌連載を開始
「理論の超入門」
❑TOEIC❑✔半年で885点取得
一言で言うと、電験をずっと分析してきた人間。
夢はある?と最近聞かれた。
電気、プラントの運転操作を教えて、自分が飯を食えれば最高だと答えた。
妻子なしなら、小さなアパートの一室で納豆や卵とごはんだけの食事で暮らすと思う(栄養の事は無知)
今後、確実に介護施設の問題が挙がる。
そこに貢献できれば良い。
そんな事を考えている。
電験の問題をいつどんな状態でも解けるような人でありたいと日々研鑽している人間です。最近「配電」と「法規」をさらに研究していました。
配電で点が取れる年はめちゃくちゃ楽になるのは言うまでもない。年度によっては超簡単なときもあるから、不平等さに対してとてももどかしい気持ちになる。
その簡単な問題が出る年度が当たった時に全力で点を取りにいける人になってもらうべく、この記事を書いている。
生活費になる仕事を端に置いておいて、関わってくれている人たちに点を取ってもらいたく書いている。
少し配電の話をしよう。
※法規については記事「【条文まとめ】電験法規の用語を問う問題に強くなる条文ノート 」にて面白い取り組みを開始。これは確実に点が伸びる。
電験3種の配電計算
電験3種の配電計算は難易度が高い。
学校で習っていない人にとって、最高難易度といっても過言ではないだろう。
「特に%Z」「これは無理」「定義を覚える余裕すらない!」
%Zを使った計算は確かに難しい問題もあるし、定義すら覚えられないのであれば、今の段階で捨てる選択をしても良いだろう。
※ただ簡単に解ける問題も紛れ込んでいるから基礎は理解しておいて欲しい。メーカー図書を見る際に役立つし後学のためにもなるからだ。
評判の良かった記事を貼っておく。参考にしてもらえればと思う。
試験本番、「平成23年の問17※」や「平成25年の問13※」のような問題が出てくるようなら、強烈なカウンターパンチ、強振を食らわしてやるといい。
※別途記事配信予定
今週の土日で一気に過去問まで入ることができれば、十分すぎるほどあなたの武器になるはずだ。
さて、ここからが本題だ。
点が取りやすい問題を厳選し整理していく。
配電計算で点を取る為に役立つ問題
※毎日一問以上、追加していきます。問題文と手書き回答を掲載していくので一緒に挑戦しよう!!!
配電強化問題1
三相3線式交流送電線があり、受電端から力率cosΘの負荷に三相電力P(W)を供給しているとき、送電線の電力損失を求めよ。
ただし、線路のインダクタンス、静電容量、コンダクタンスは無視できるものとする。
【線路条件】
・電線1線あたりの抵抗がR(Ω)
・受電端電圧がVr(V)
問題1の解答
「線路の電力損失W=3Ⅰ^2×R」より求める。
そのためにはまずは分かっているパラメータから電流Ⅰを求めていく。
供給している負荷電力Pは「√3×Vr×Ⅰ×cosΘ」であるから
Ⅰ=P/√3VrⅠcosΘだ。
あとは線路の電力損失の式に入れるだけだ。
問題1の狙い
ここで学べる考え方こそが配電計算問題の基礎となる。受電端の電圧や電力という言葉がキーになっていて、これらの値から電流を求めるという展開が王道なのである。
ここをよくトレーニングしておかないと結局、問題にあたるたびに「どうすりゃいいんだ??」「受電端が与えられたからどうしたの?」となってしまう。
まずはこの問題を5回解いて、ぶら下がる負荷とその負荷によって電流の流れが出来ていることを肌で感じて欲しい。負荷の電力が増えれば、電圧が変わらないと電流やcosΘが変化することを感じて欲しい。力率など設備側で決まるので大きくは変化しないので、やはり電流が大きく変化するということを感じて欲しい。
そして、この電流こそがよく問題で問われる。
配電が嫌いな人の為の例え話を入れておこう。
配電計算の電流はサッカーで言うと、起点のようなポジション。レジスタのようなイメージだ。問題において大抵は負荷電力と電圧が与えられているから後は力率を探し出し、とにかく電流を求めてしまう。電流さえ分かれば、大きく展開を考えることができたりする。後段で紹介する厄介な電圧変化率や電圧降下でさえ、算出する際、電流を求めてからその電流値を公式に入れることになる。故にこの問題の電流を求めるステップは超重要な基本動作なのである。
次に挑む問題は「電圧降下の公式」を使った問題である。ほぼ電験3種の問題なので心して挑んでみて欲しい。
配電強化問題2
三相3線式高圧配電線に負荷(1000kW,遅れ力率0.9)を接続している。負荷受電端電圧が6000Vのとき、下記のパラメータを求めよ。
ただし、線路のインピーデンス(1線あたり)は1+j1(Ω)である。
・送電端電圧(V)
・電圧降下(V)
・電圧降下率(%)
問題2の解答
配電強化問題3
三相3線式配電線路(電源から点Aを経由し点Bまで配電)の全線路の電圧降下を求めよ。
線路の運転状態としては電源から点Aまでは1000m、点Aから点Bまでは400mで点Aからは20A、点Bからは20Aの電流が流れているとする。
ただし、電線の条件は全区間で等しく、1kmあたり0.4Ω、負荷力率は100%で計算すること。
問題3の解答
配電強化問題4
単相2線式配電線路がある。点Aから電流は流れ込むとして、地点Aの電圧が105Vのとき、C地点の電圧を求めよ。
※回路図は解答を参照願います
問題4の解答
注意事項としては「2線式」ゆえに、電圧降下計算をする際の「×2」を忘れてはいけない。3線だと「√3」が必要だし、何かをつけないといけないと覚えておくと忘れ防止になってよい。
配電強化問題5
単相3線式配電線路にバランサを接続した場合、線路損失はどれだけ変化するのかを求めよ。
線路インピーダンスは1線あたり0.1Ω。線路インピーダンス以外は考えないものとする。力率は100%。
※回路図は解答を参照願います
問題5の解答
5問を振り返って
いかがだっただろうか??
最近の参考書では配電を丁寧に扱う傾向にあり、問題数がとにかく多かったりする。これが逆にハードルを上げてしまい、混乱を招く原因になっていたりする。
実は今回紹介した5問は教科書に記載されているモノばかりである。
だから簡単だとかの議論をするのではない。
幹にすべき問題を選ぶといい
ということである。
バランサの説明をごちゃごちゃとする講師が昔いて自分はとても苦手だったのだが、結局のところ、バランサの中央部から電流が入るか、入らないかだけの話なのだ。
そして、バランサは電流を二分割で吸収する。そのため、対象線路の線路損失を軽減できる効果があるのだ。
こういう視点で参考書や問題を見ると「なるほどね!」となるだろう。
5問解き終えたのだが、ここから問題を沢山解いていくのだ。
プランターを用意し、種は植えた。
あとは水をやり、栄養を与えて育てていくだけである。
公式のうち「どこかが目隠しされていてそれを暴く」というゲームという捉え方もあるので、楽しみながら解いてみて欲しい。
配電強化問題6
三相3線式配電線によって、ある負荷(力率0.8)に電力供給されている。電圧降下率が10%以下となる負荷の電力値を求めよ。
受電点の電圧を6000V、こう長2km、線路インピーダンスは抵抗0.45Ω/km、リアクタンス0.6Ω/kmの条件で計算すること。
問題6の解答
学校の授業で扱うような王道「公式をただ活用する」から若干外してくる問題。電験はこの手の外しの問が多いから難易度が高い。
公式は公式で書き出しておき、何が足りないのかを考えながら解いていくと答えに辿り着くことができる。
思考の流れとしては
「電圧降下率の公式を思い出す」
「電圧降下の公式を思い出す」
「線路インピーダンスを計算する」
「電圧降下を求める」
「電流を求める式を立てる」
「電圧降下率の公式に代入すると、電圧降下率が与えられているので知りたい電力量Pだけが残る」
といった感じだ。
逆転の発想で「電圧降下率」が与えられているなら、未知の変数を1つ電圧降下率に入れれば、未知の変数が求まるという思考から公式を変形していくといい。
むしろ、この考え方でいくと問題を紐どく突破口を見つけやすいだろう。
配電強化問題7
母線電圧210Vの母線に50mの3心ケーブルを接続し、全電圧始動の定格電圧200V、定格出力15kWの三相誘導電動機を運転する。始動端子電圧を求めよ。
ただし、ケーブルは抵抗成分(0.5Ω)のみを考えることとする。始動電流は端子電圧に比例するとともに200Vにおいて300A流れるものとして計算すること。始動時の力率は0.5とする。
問題7の解答
3心ケーブルは電力科目だけでなく、法規科目にも登場する。しかも計算問題でも登場するので知っておくと良い(2芯か3芯か (Be-selfbuilders))
注意すべき点としては「3相」であることをきちんと先に確認しておき、そこから解き始めること。
電圧降下の公式が「×2」なのか「×3」なのかといった違いが生まれてくるからだ。
配電強化問題8
三相配電線の末端に負荷A(1500kW、遅れ力率0.9)が接続されている。下記の回路条件での配電線損失および電力損失率を求めよ。
・負荷端の線間電圧:6000V
・配電線こう長:2km
・配電線インピーダンス:0.5+j0.5
問題8の解答
「配電線損失」と「電力損失率」という言葉はきちんと覚えているだろうか??特に「電力損失率」はあまり見かけることがないので、問題文で出会ったとき「ギョッ」とすることがある。
ただこの問題は難しいというより、道筋をちゃんと立てて進められるかが鍵。
配電線損失を求める為には「電流」と「抵抗」がいる。しかも、3相なので損失を求める際は必ず「×3」をすること。
損失さえ分かってしまえば、分母に受電電力を入れた式を立てて計算すれば、電力損失率が求まる。
配電強化問題9
3相3線式送電線路にて、受電電圧を20kV,力率を0.8で供給することとし、線路損失を受電端電力の10%以内とするためには受電電力はいくらにすれば良いか??受電電力はkWで答えること。
なお、送電線路はこう長さ10km、1線あたり0.4Ωで計算すること。
問題9の解答
「線路損失の値」も分からなければ、「受電電力」も分からない。故に王道の解き方である電流算出ができなくて困る。
問6でも同じような解き方をしたが、分からないものが複数ある場合はとにかく記号に置き換えるといい。徐々に解けていくことに気が付く。
今回の問題だと、「線路損失が受電端電力の10%」といったヒントが与えられているので、ここを糸口に答えを求めていく。
線路損失の答えが受電端電力で与えられているので、線路損失を求める式の中に受電端電力を入れてやれば、答えに辿り着くことができる。
配電強化問題10
3相3線配電線路において、負荷の端子電圧6000Vはキープしつつ、負荷A(力率0.8)に電力供給している。電圧降下率および電力損失率が両方とも10%を超えないように負荷をもちたい。10%を超えない負荷の電力量(kw)を答えよ。
問題10の解答
電圧降下率および電力損失率のどちらが、先に制限(10%)にかかるのかまで知れる問題である。
配電強化問題11
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問題11の解答
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配電強化問題12
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問題12の解答
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※今週末まで配信を待って頂きたい。
自分は今、下記の挑戦をしているのだ。ほぼ勉強もせずに今週23日を迎えてしまったのである。
今、全力疾走で駆け上がっている。
是非この惨めな姿を見て頂き、同じ失態をおかさないで欲しい。
勉強のラストスパートを今日から電験勢にはかけて欲しい。
(自分のこの勢いが単純に一ヶ月前からやっておけば即合格だっただろうに。。)
https://twitter.com/denken_1/status/1298238842978279424?s=21