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【PROJECT】電験二次試験過去問の超解説集-電力・管理-平成12年版【4日目】

お疲れ様です。

桜庭裕介です。

 

引き続き、毎日更新で「電験二次試験」に取り組んでいきます。



3日目が終了し、4日目に突入したことで相当の知識量が蓄積してきたと思います。

 

この平成12年もかなり知識が詰まっているので解析を頑張りたいと思います。さっそく頑張っていきましょう。

 

【更新情報:2019年11月2日4時】
問6まで完結しました。

 

電験2種二次試験過去問の超解説の学習概要【平成12年】

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学習項目①「水車・発電機の負荷遮断」

⇒電圧上昇率、速度変動率、水圧変動率、速度調定率の公式を覚えているか、公式を使って正しい値を求めることはできるかを問う問題だ。基本事項だが、覚えていないと即失点に繋がる怖い問題。


 

学習項目②「ボイラーの構成機器(過熱器,再熱器,節炭器,空気予熱器)

⇒ボイラーに関する問題はこれまでも多く出題されてきたが、過熱器,再熱器,節炭器,空気予熱器はプラントの熱効率向上という共通点を持っていることに気が付いて欲しい。特に近年は環境保護が世界中の課題となっているため、重要知識である。試験に出やすいのは自明。きちんとそれぞれの役割を覚えておくといい。

 

学習項目③「ケーブルの充電電流や静電容量を計算する問題」

⇒ケーブルの充電電流に関する問題はこれまで電験3種でも出題されてきたこともあり、もはや王道の問題となった。過去問と大きく変わらないことは電験の講師をしている人間の中では有名。だからこそ、勉強しておくといい。

 

学習項目④「設備の改修・点検時における感電等の人身事故防止の安全対策

⇒こういった問題は知らないと解けないので難しいと言えば、難しい。学校ではあまり習わないからだ。電気雑誌(新電気等)を5冊程度読めば、このあたりの知識が身に付くので対応力が上がる。少なくともこの問題で重要なポイントがまとめられてあるので覚えておこう。

 

平成12年度 電力・管理

 

問1について問題

「水車・発電機の負荷遮断に関する問題」
(1)電圧上昇率、速度変動率、水圧変動率、速度調定率の公式を求めよ。

(2)試験データおよび(1)の公式を用いて、それぞれの値を算出せよ。

≪check point≫
公式を覚えていないと即アウト。水力分野は公式の数も少ないので、しっかり覚えておこう。逆に言うと、少ない公式をきっちり覚えて、問題の解き方をマスターすれば点が取れる。

 
解答


(1)
電圧上昇率とは「定格電圧に対する負荷遮断前後での電圧の変動比率」のこと


電圧上昇率=(負荷遮断後最大電圧ー負荷遮断前電圧)/定格電圧


速度変動率とは「定格回転速度に対する負荷遮断前後での回転速度の変動比率」のこと


速度変動率=(負荷遮断後最大回転速度ー負荷遮断前回転速度)/定格回転速度

水圧変動率とは「静落差に対する負荷遮断前後の水車にかかる水圧比率」のこと


水圧変動率=(負荷遮断後の最大水圧ー水車停止時の静水圧)/静落差

速度調定率とは「負荷遮断前後の回転速度変動比率と負荷変動比率の比」


速度調定率=A/B


A=(負荷遮断後速度ー負荷遮断前速度)/定格速度
B=(負荷遮断後の負荷(kW)ー負荷遮断前の負荷(kW))/定格負荷(kW)

 

(2)

与えられた値を公式に冷静に当てはめていけば解ける。

 

問2について(問題

「火力発電所のボイラ設備を構成する過熱器、再熱器、節炭器、空気予熱器の各々について概要を述べよ」

≪check point≫
問題が様々に変形した出題されてきた分野である。しかし、いくら問題が変形したとしても、重要な部分、本質となる部分は変わらない。一つ一つの知識をきっちりと習得しておけば、応用を効かせることが可能。

 

 解答

 

・過熱器

飽和蒸気から過熱蒸気を作り出す設備。ドラムから出た蒸気は加熱されたと言えど、多くの水分を含んでいるのだ。その水分を飛ばすほどの加熱をするのが過熱器の役割である。


※ボイラー内にある蒸気の一部を過熱器の熱源に利用していることも覚えておこう


・再熱器

高圧タービンで仕事をし終えた蒸気を再度温める役割を担う。再度温めた蒸気を中圧タービン低圧タービンで仕事させることで、プラントの大幅な熱効率向上が実現した。


・節炭器

ボイラーの排ガスを利用して、ボイラーへの給水を温めるといった役割を担う。ドラムに加わる熱応力を低減させる役割を担っていることも覚えておこう。



・空気予熱器

節炭器と似ている部分がある。空気予熱器はボイラーの排ガスを利用する点だ。ただ用途は当然異なっていて、空気(燃焼用)を温めるための役割を担う。

 

問3について(計算問題

「三心ケーブルの静電容量を求めて、充電電流を算出する問題

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≪check point≫
一つの型みたいに覚えておくといい。出題されない年も勿論あるが、出題されるとほぼ点が取れる。

参考書等を見れば、ケーブルの充電電流の計算は記載されているのでそちらで何回も解いて型を覚えること。


まず重要なのは
「C1=3Co」という公式

何度も見たことがあると思うが、意味が分からないとしばらく忘れてしまう。きちんと
各導体と大地間の静電容量がCoで三心の中心から端子を出し、その端子と大地間がC1だということを理解しよう。

 

※最近だと、平成29年の電験3種でも出題されています。電験2種でいえば、平成25年の二次試験にも出題されています。

ネット上にも分かりやすい記事がなかったので、別途記事を作成します。理解すると「なるほど!」となると思います。

 

問4について(計算問題)

「3線配電線に三相誘導電動機を接続して運転したとき、力率が√3/2(遅れ)だった。誘導電動機に流れる電流やコンデンサに流れる電流、ベクトル図を書けといった問題。

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≪check point≫
複素数の計算がきちんとできるかといった問題だ。

電圧が与えられていて、リアクトルやキャパシタンスを使って、正しく計算できるか試される問題。遅れ、進みの意味を間違えなければ点を取ることができる。

但し、過去問だけやっていて基礎が不十分な人は意外にも解けないことが多い。(過渡現象の計算も同じことが言える)


当たり前のことなのだが、高校時代に電気を勉強してきた人は教科書を見て、基礎学習をしてから電験の勉強をしよう。

一方で、社会人になってから電気を勉強したという方は基礎が不十分な方が多い。図書館に行って、交流回路の基礎という本で数問解いて記録として残しておこう。

もちろん、この平成12年の問題でもいい。



※もし「この計算苦手だな」「足りていないな」という方は11月1日(金)もしくは11月2日(土)までには取り組んでおきたい。


何故なら、もう時間的な余裕がないからだ。
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問5について(論述問題)

「屋外開放形の受変電設備の改修・点検作業や改修・点検時の機器操作において、作業者の感電等の人身事故を防止するためにとるべき安全対策を、次の項目について簡潔に述べよ。」

(1)電気設備の設計、施工面での安全対策

(2)改修・点検時の作業や操作を行う際の設備面での安全対策

(3)改修・点検時の作業や操作を行う際の作業面での安全対策

 

≪check point≫
「設問を短くしてしまおう」


混乱しがちで答えが書きにくい問題だが
「設計・施工時」
「設備面」
「作業面」
短い文章にして考えると、答えが湧くのでオススメだ。これは他の問題でも使える技術。

そうすると、設計時には法律が絡んでくることが発想できるし、点検時の作業に対する工夫が頭に浮かぶだろう。実際に作業を見たことがなくても「こうしたら良いのでは?」というものは大体当てはまるはずだ。


解答

 (1)について

・法令順守を遵守する

電気設備技術基準をはじめとする規定値を満足することに加えて、労働安全衛生規則による充電電路に対する接近限界距離を満足する設計とする。

 

・安全に作業できる作業手順書を作る

工程に余裕をもたせた上で、安全に作業できる無理のない操作手順書とする。

 

・充電部の露出が少ない設計とする

GIS機器など充電分の露出部分を少ない機器を採用する。

 

(2)について

・点検対象がわかるように表示をする
・安全区画を設置する
・暗い所では照明を設置し、作業環境を整える
・必要な工具を準備する

 

(3)について

・TBMを実施する
・KYを実施する
・作業・操作手順書の再確認をする
・検電を行う
・点検範囲を確認する
・予定外作業を禁止する
・指差呼称をはじめとする基本動作を厳守する

 

問6について(論述問題)

「自家用変電所の過電流保護について、保護協調の観点から次の問に答えよ」

(1)保護継電方式における保護協調の概念について簡潔に述べよ

(2)過電流継電器Ry1の動作時間整定値(限時整定値)の考え方について、供給変電所とのかかわりも含め簡潔に述べよ。

(3)一般電気事業者から過電流継電器Ry1の限時整定値を変圧器二次側回路の短絡時に0.6秒以下とするよう要請されている場合、保護協調における適正動作時間差を考慮し、過電流継電器Ry2、Ry3の動作時間整定値を求め、かつ、瞬時要素付きの要否について述べよ。

 

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ただし、遮断器の全遮断時間は0.1秒、過電流継電器は誘導円盤形で、その慣性動作時間及び最短動作時間整定値は各0.2秒、余裕時間は0.05秒。

≪check point≫
保護協調を理解しているか?を確かめる非常に重要な問題。電験2種だと平成18年にも出題されている。

電験3種ではよく出題されている。レベルとしては(1)(2)ぐらいの問題だ。最近だと、平成26や27年で出題されており、法規でも出題されて受験者を驚かせた。

こういった背景もあることもあり、自分は今年の狙い目だと見ている。初見で解くというのはかなり厳しい問題だろう。

 

解答

 (1)について

一般電気事業者の電気系統と自家用配電系統全体として、事故が発生した際には故障点検出・原因除去・事故の波及拡大防止できることが求められる。各保護継電器に適正な整定時間を設けるといった協調を取り、停電範囲を最小にすることが要求される。

(2)について

継電器は停電範囲を狭めるために、末端側に事故が発生した場合には先に需要家側の保護継電器が動作するように設定する必要がある。

 

(3)について

Ry2の整定値 0.25秒。(Ry3との協調が可能であれば0.2秒)
Ry3の整定値 0.2秒。(瞬時要素付)

 

この計算については分かりやすいように別の記事でがっつり解説したので、そちらを見て頂きたい。

 

 

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