お疲れさまです。
電験を研究し続けて、雑誌の年間連載を掴むことができた桜庭裕介です。
ここ最近は「ある相談」を受けてから本格的に「高専生の不当な扱い」を取り上げて、記事にしています。
2本の記事を配信したところ、Twitterでも話題になりました。
これらは「全て事実」です。
就職後に気付く|高専生は高専生を優遇してくれる大企業を狙うべき【結論:少し考えれば当たり前だった】 - 電験合格からやりたい仕事に就く
高専生に電力会社はオススメしない【出世は無理|割り切るならアリ】 - 電験合格からやりたい仕事に就く
就職相談担当だけではなく、高専卒の社会人もこんなことを言います。
「高専生を優遇しない会社は実在していて、本当に優遇しないんですよ。しないところは。」
上気の記事では、実話を交えた注意喚起をしました。
「別に出世はいいや。言われたことだけやっておこう」といった人は高専生を優遇してくれない電力会社でもいいでしょう。
※記事中では紹介していませんでしたが、現場業務に近い高校卒が多い部署を狙って出世するという手段も電力会社にはあります。そこならある程度の出世が可能です。(ただし、異動の可能性はあります。その場合は高確率で苦労するので注意が必要。「今いる楽な環境」から「数年働いて強くなった院卒がいるフィールド」で戦うのはかなりしんどいでしょう)
話を戻して、本題に入ります。
高専生は進学すべきか。答えは理想の将来から逆算すると見える。
今日のテーマは「高専生の進学」についてです。
高専生は4年生の冬から5年生の春にかけて、重大な選択をすることになります。
「大学に進学するか」
「就職するか」
この二択だ。
悩んでいる人は多いだろう。
悩んだ末に、無駄な選定基準を設けてしまう方がいるので、いくつか悪い基準を紹介します。
高専卒と大卒以上の初任給を比較するのはナンセンス
一般的な相場を見てみると
大体、下記の給与が初任給の相場でしょう。
院卒:22万円
大卒:20万円
高専卒:18万円
高卒:16万円
「大学院卒は22万円もらえるのか」
「高専卒より4万円も多くもらえる」
こんな考えや発言をしている方がいますが
実は、これはあまり意味がありません。
なぜなら、大学院を卒業するまで1000万円近いお金がかかるからです。
大きい出費で言えば、入学金、学費、アパート代、交際費、そして、教科書代。
学食でさえ、今の時代、高いところも意外とあります。
つまり、初任給という理由だけで大学に行くと後悔するということです。
すぐにお金が欲しいという理由での就職
数年後に後悔する人の特徴の一つです。
というか、高専生の多くがこの失敗をします。
働き始めて、1年ぐらいは好きな物が買うことができて、好きな場所に行ける喜びを感じることができるでしょう。
しかし。
2年ぐらいが経つと、違和感を感じ始めます。
「仕事が面白くない」「何をやっているんだ?」といった感覚に襲われるようになります。
仕事はバイトと違って、1日に8時間~10時間も働くことになります。
しかも、仕事は徐々に難易度が上がってくるので、入社1年2年目にやっていた仕事よりも苦労するようになります。
怒られることも増えるでしょう。
・・・お金はある。
「やりたいことがしてー!!!!」
「こんな夢があったんだ!!!!」
という状態に陥ります。
こういった理由で、職場を去っていった友人がかなり多いです。
ちなみに自分の身の周りで言えば、約10人の高専卒がいましたが「8人が退職」しました。
勉強したくないから就職⇐これは完全な間違い
「進学を選択せず、就職する理由」で最も多いものです。
気持ちはめちゃくちゃわかります。
高専で5年間も勉強してきて、これ以上何を勉強するのだと。
「勉強はもうしたくない」
そして
「そんなに勉強して何になるんだ??」
古い考えの祖父あたりはそんな発言をするのではないでしょうか。
「社会人は勉強しなくていい」みたいな認識が古い方はありますが・・・
これはズレているので、修正しておいた方がいいです。
今の時代、就職してからの方が「たくさん勉強することになる」ことを覚えておいて下さい。
昔と違い、PCが普及し、色々なソフト、アプリケーションが導入されています。それらを丁寧に教えてくれる人がいない場合が往々にしてあります。
何なら「あなた自身が先生になる」ことだって、あります。実際に自分も「これ、検討しといてくれ」などといった導入前の検討指示を受けたことが実際にありました。
【参考情報】大学での勉強について
大学は勉強をさせられる場ではないことを知っておいて欲しいです。(海外の大学を少しだけ覗いた経験があります。日本以上にめちゃくちゃ自由でした。考えるような課題がめちゃくちゃ多くて大変そうでしたが)
いずれにしろ、大学は
「自分で学ぶ場であること」
「好きなことが沢山できる場であること」
ここは高専とは少し違うところです。(そのため、学ぶ学生と遊ぶ学生で差が出てしまうんですが)
大学は「好きな知識を深める場」「自由に経験を積める場」と思っておくといいでしょう。ちなみに自分は大学に進学して良かったと思っています。
入学当初は「机上の勉強なんて必要ない」などと思っていました。
でも、これは間違っていました。
大学は「好きなことに挑戦できる場」だったのです。
国立大学は、まず設備が大きいです。
社会人になって、何十万円を払って英語の学習をする人がいますが、大学ならPCもソフトも英会話教室も完全無料。図書館にも膨大な資料が備えられています。
これらは好きに活用して良いのです。ちなみに自分はTOEIC800点近くを取得しています。
そして、何より大学生の特権は「時間」。大学生はめちゃくちゃ時間があります。
社会人は平日7時~20時は拘束されてしまう上に、早く寝ないといけません。土日は疲労が蓄積してしまっているというデメリットまでついてきます。
やれることなんて限られています。
このあたりのメリット・デメリットをきちんと検討し、自分のなりたい将来の姿と比較して、就職を決めると後悔がない人生を送ることができるでしょう。
進学or就職の選択は「理想の将来」から決める
最も重要なステップに入ります。
①進学するか
②就職するか
どちらかを選択しないといけない。
でも、迷う。
そんなときは「将来自分がどうなりたいか」を考えるといいです。
そこを考えておくと、今、選択すべき道が見えてきます。
まず、こんな方は就職がいいです。
一流企業でそこそこの給与をもらう管理職がやりたい人
・大学院卒より仕事をしてやるぜ!などいうプライドは一切なし
・仕事はそこそこで、ある程度の給与さえもらえれば、出世はしなくても良い
・安定していれば良い
・決まった仕事がしたい
このような考え方の人は「就職」で良いでしょう。逆に大学に進学すると、メリットを感じられずに、無駄な時間を過ごしているように感じるので後悔するでしょう。
出世を割り切れて、決まった仕事がしたい人は「他人の出世」で苦しむことがないので、学歴云々を気にせず、就職を選択しても良いと思います。
しかし、企業選別は絶対きっちり行うこと。
経団連の会見を受けて書いた記事(電気仕事で食っていく|終身雇用が崩壊するからこそ「電験」を。電験の待遇の良さは異常。|maco|note)でも「会社選びはかなり重要」だとお伝えしました。
例えば「東芝の話」が良い例です。
安易に「有名大手メーカーだから東芝」という理由で入社した人はかなり後悔したはず。
投資家のように、業界の将来がどうなるかといった観点できちんと分析をすべきです。その上で自分の趣向と合うかどうかを見極めていくと「入社したい会社」が見えてくると思います。
❑POINT❑
①10年後、20年後、自分がどうなりたいのかを想像してみるといい。
②業界の将来を見据えた上で会社選びをすること。(業界自体が苦しくなれば、ほとんどの企業が一気に苦しくなるためだ。)
将来、経営層の立場まで登りたいと考える人
入社した会社で経営層に加わるのか、独立して新たな会社を作っていくのかによって、選ぶべき道は大きく違ってくるでしょう。
新しい会社を立ち上げて、経営している方を見てみると、学歴なんてのは全く関係なかったりします。
「大学なんて行く必要ない」という発言をしている著名人もいますよね。
ただ、注意しておいてくださいね。
独立して事を成している方は必ずと言ってもいいほど「優れたモノ」を持っています。安易に自分も成れると思わない方が良いでしょう。ネットの普及で情報が沢山ある環境ですから、努力が必要ですよ。
独立して成果を出している人は総じて
「努力」「継続する意志力」
そして「世の中に提供できる価値」を持っています。
これらを習得するためには「どうしたら良いのか」を考えていくと、自分が選択したい道が見えてきます。
会社員でスキル磨きor大学で色々挑戦⇒どちらも正解
ここは個人の趣向で選択して欲しいです。
その理由としては
「これまでの自分の経験上だけではなく、世の中の成功者を見てみると、どちらも正解」
だと言えるからです。
実際の例を見てみると、分かりやすいでしょう。
①ブラック企業で働いた経験を活かして、仕事に繋げた人がいます。
大きなプロジェクトをやってみて、会社を作った人や経験を記事にするブロガーもいます。大学を出ていない人はめっちゃいます。
②バイトから就職して成功している人だっています。
今、youtuberで有名なマクドナルドでの仕事経験を活かしてビジネスアドバイザーをしている鴨頭嘉人さんもそうです。(炎の講演家 鴨頭嘉人公式ホームページ)
胡散臭いなんて言われていた時期もありましたが、しっかりと価値を届けたことで今や多くの方に認められています。
③一方で、大学で学歴を作るという選択肢も正解。
日本社会の求人広告を見てみると、大学卒以上といった基準があって、そこを満たしていないと、門前払いを受けます。
これまでも伝えてきましたが「出世には学歴が必要な会社」もあるということです。
一部上場企業だとそういった会社が多いので、自分の入りたい会社では学歴が必要となる可能性が十分あります。
ストレートに言うと、経営層に加わるには「大学卒以上の学歴」を取っておく必要がある場合も普通にあるということです。
❑POINT❑
「どういった会社が大卒以上といった基準を設けているか」をチェックするのは有効な手段。
将来、こんな会社に入りたいと思っているのであれば、求人広告を確認してその会社の特性をチェックするといいでしょう。
まとめ
以上「高専生は進学すべきか。答えは理想の将来から逆算すると見える。」の記事でした。
ポイントをまとめると・・・
①高専生は一流企業に入ることが簡単。だからこそ、就職するなら「高専優遇の会社」にしよう。
②「企業選び」に一番手間をかけること
③大学進学もあり(ただし、就活の難易度がめちゃくちゃ上がる(別記事で解説します))
④大学卒を基準としている企業は先にチェックしておこう
最新企業分析ツールの紹介
いい会社をチェックするためのツールを解説した記事です。高専卒の方が変な会社を選択しないために書いた記事。
2019年11月1日追記
「Googleオススメ記事に掲載されました。」